心理セラピスト エステル・ペレル 「愛と欲望の両立について」
人はすでに手に入れた物を欲することが出来るか?
人々が愛に求めるもの、イメージするものは安心感、信頼性、安定
感そして相互依存、連帯感、保護、気遣い、責任感などである。
しかし愛することを持続するための欲望は実はこれらと相性が悪く特
に性欲を減退させる要因となってしまう。
それは愛がhaveで欲望はwantだからである。つまり欲望を刺激し続け
るためには冒険心、スリル、サプライズ、目新しさ、新鮮さそして独
立性、自主性など日常になじみの無いものが必要――ただし欲望が強
すぎると嫉妬や独占欲、支配欲、ずるさなど負の感情でお互いを傷付
けてしまう――。
ではどのようにしてこの矛盾する二つのニーズを両立させるか?
それは想像する事である。相手の未知なる魅力に期待することである。
彼女の調査によれば人がパートナーに最も魅力を感じるのは離れ離れ
になっている時と再会の時、そしてパートナーが何かに熱中している
姿を見たり人に注目されて輝いている時だそうだ。近すぎず遠すぎず
ちょうどいい距離感で活き活きしているパートナーを見たとき彼かの
じょをミステリアスに感じるあの瞬間である。ジェラシーのような少
し遠い存在に感じるような切ない気持ち。
相手に重いと思わせては駄目。冷められてしまう。世話してあげる
のも相手の性欲を減退させるだけ。→あなたと未知の相手の二人を使
って安心感と冒険を両立させようとするだろう。
我が子が成長の過程で冒険の旅に出ようとする時「楽しんでおいで」
と言ってあげればその子は繋がりを感じながら独りでいられる。帰る
所があるという安心感を持って思い切り冒険が出来る。
しかし「心配」とか「寂しい」とか「なぜ旅に出るの?現状に不満が
あるの?」などと言うとその子は直ちに旅を取りやめて繋がりを守ろ
うとするだろう。自分の自由を犠牲にしてしまうのだ。いろいろ背負
い込むのが愛だと思ってしまう。責任感や気遣いのつまみを最大に回
して相手との距離をゼロにし自分自身をそこに固定してしまう。(時
間よ止まれ) これは恋人たちの言葉で言いかえれば「いなくなった
りしない?」「怒ってない?」に当たり、彼らは新たな喜びを感じる
ことも新しい発見をする事もなく石化する。そこには最早何の期待も
ない。――もしかしたら愛も――。
これらを回避するためにもっとセックスを有効に活用するべき。
セックスは人間の想像力とエロティックな知性を駆使した高度なコミ
ュニケーション手段である。彼らは二人で互いの心の中を訪れ、自分
自身を包み隠さず相手にさらけ出しながらそれと向き合う。それによ
ってお互いのことをより深く知り、またもっと知りたいと思う気持ち
を起こさせるのである。
セックスレスのカップルは言う、「良いセックスをして生きている
実感を得たい」「生命力を取り戻したい」と。
冒険することは自分と向き合うこと。
愛と欲望を両立させるポイントは
①お互いが独自のセックス観を持つこと
②生活すべてが前戯であると思うこと
③エロティックな空間においては仕切り上手を止めること。
テキパキしない。真面目にならない。責任感を忘れる。
④計画的に意図してセックスをすること。
欲望は自然発生的なものではないと知ることが重要。
Seita’s view
インターネットの普及によって現代人は知りたいと思うことを瞬時に
完結的に知ることが出来るようになった。それが個人のプライベート
なことであれ見ず知らずの他人の過去であれ彼ら自身が公開している
ことは誰にでも知ることが出来る。それは人と親密な関係を築く近道
を用意したかもしれないが却って他者との距離感を狂わせてしまった
のかもしれない。
そのもっとも典型的な例が現在もむきになって攻撃を仕掛けている
ストーカーと呼ばれる類の人たちだろう。彼らは恐らくクローズアッ
プでしか相手を見ることが出来なくなった人たちなのだ。つまりド近
眼。知りたいという衝動を抑えられず何処までも相手のプライベート
に土足で入り込み、虫を弄ぶように対象を観察、調査する。そして対
象の物質化の手続きが済むと次いで彼を自在にコントロールする事を
試みるのである。これは完全に自己と対象の区別が消失していること
を意味する。
ここで再びスピーカーのホロコースト生存者へのアンケートを引用
すると、生き残ったことに対して「生かされた」ではなく「死ななか
った」という捉え方をしている人はもはや何も楽しまず想像にふける
ことが無い、何も期待しないという。これを聞いた時僕は即座に「捕
まらなかった」に置き換えて納得したものだ。
「多くの人間は情報の9割を視覚から得ている」と云われるが正に
彼らは見えるものがすべてなのであり見えないことに対して不正や不
公平を感じて憤るのである。そして見たいものをすべて見てしまうと
さっさとそれを切り捨てて次の対象を漁り始める。・・・愛や愛着な
ど入り込む余地がない。それどころか自分もそういう眼で人に見られ
ているのではないかと考えて何の罪を犯していなくても警戒心を抱い
ているかもしれない。これが晩婚化や少子化につながっているとした
ら何とも悲しい時代になったものである。――そう言えば森久美子さ
んが「40になったら開き直るから」とか仰っていたな。
それじゃダメじゃん。
要点を一言に集約するとこれかな。「かわいい子には旅をさせよ」
愛しすぎず、愛することに責任を感じ過ぎず、期待を持ちすぎない。
人とのベストな距離感を今一度計り直しましょう。
「言いたくても言えないこともある」なんていう人がいるけど言っ
ても円満を維持できる関係性を作ればいいんじゃない? それ以外の
親密さってあるの? 分かるよ。言いたいことやそのシチュエーショ
ンは分かるけど…。でも口を一文字にしなければならないほど大げさ
なことかな?――血が出るほど―― お互い好きで一緒に居るんでし
ょ。「嫌い」と言いたいの? いちいち欠点をあげつらってあなたの
そういう所が嫌いなのって言いたいわけじゃないでしょ。言えばいい
じゃん。「似合わないよ」って意味で。「夢こわれるよ」っていうの
も面白いね。「アイドルじゃねえし」って返って来るの。でも本人相
当意識するんじゃない?(笑)
→「結婚したら片目を閉じて見よ」って言葉もあるね。わざわざ見
に行かなくていいんだよ。知らなくていいんだよ。好きになった時の
印象を信じていれば。それで良い発見だけそこにプラスしていくの。
採点の基準にするんじゃなくてさ。
完成形? 出会って間もない頃にピークがあって親密になるにつれ
てそこを目指していくの。心から尊敬できる相手ならきっとその理想
像を撤去する日が来るだろうね。憧れを愛が少しだけ上回った瞬間。
愛着より遠くて憧れより近い存在。世界中でたった一人にでもそう思
ってもらえるような人になれたらその人生はもう大成功だよね。
あ~恋したい!
