『100分 de 名著』で『全体主義の起源』ハンナ・アーレントを観て

第三回。

「全体主義は政治に無関心な大多数(=大衆)の人任せな態度が生み出す」
彼らは議会制民主主義の平等意識を過信し、自分たちの利益や権利、理念を
明確に持って集まった政党がもたらしてくれる生活以外に個人の人生の豊か
さを測る物差しを持たない。そこで競争によって生じる格差にそれを見出し、
他を出し抜かんとして政党が唱える嘘を鵜呑みにし、世界の秘密を解き明か
葬と考えている。

「全体主義運動は一貫性を具えた嘘の世界をつくり出す。この嘘の世界
は彼らのエゴすなわち快感原則とよく調和して彼らの自己実現を助ける。」

「そのため敗戦と恐慌によって過度の不安にさらされていた大衆は厳しい
現実を忘れさせ、安心して頼ることのできる世界観を求めた。そしてそれを
示してくれたのがナチスのような世界観政党だった」
大衆はナチスに心を奪われ、示された敵と戦った。ナチスは六百万人のユ
ダヤ人を殺したが、当然、それで彼らの誇りが回復する事は無かった。それ
は彼らが強制収容所の労働者としてのユダヤ人を重宝し、またレイプの対象
としてのユダヤ人を人間として扱ったところからも明らかである。必要なレ
メディーを特定することのできない人の病が治るはずはない。それにこの世
に万病に効く薬などというものは存在しないし、それを処方できる医師もい
ない。むしろ人に救いを求めている内はその人の悩みも大したことは無い。
妥協に甘んじる事を決断した者が人様の肝(勇気)を煎じるんじゃない。

 

第四回。

「政治においては服従と支持は同じである」

複数性――自分と異なる思考をする人間の存在を認めること。
・・・連中はこの考え方を非常に推すけどもこれって資本主義の考え方だ
ろ。つまり資本家と労働者の相互理解を勧めるもの。アーレントが考える
「複数性に耐える」というのも要するに労働者は分際を弁えろと言いたの
だ。資本家の側にも労働者の側にも言い分はあろうがヒエラルキーを変え
る事はできないのだからあきらめろと。――だからそれが全体主義の骨格
じゃねえか。「ミルグラム実験」の解説を含めて結局朝鮮人や死ね死ね団
の保険に利用しただけだった。つまらん。

「ミルグラム実験」――大戦中にユダヤ人を強制収容所送りにした移送
責任者アイヒマンの裁判が行われた翌年1962年にアメリカのエール大学で
心理学者スタンディ・ミルグラムによって行われた心理実験。
被験者は先生と生徒という役割を与えられてお互いの顔が見えない別室
に入り、そこで生徒にいくつかの問題を出し、正解できなかった場合には
電流ショックの罰を与えるというもの。不正解を重ねるほど電圧が先生役
の意思によって上げられる。ただし生徒役は実は仕掛け人でわざと間違え
て絶叫したり痛みに耐える演技をしたりする。これはその声を聴きながら
もなお指導者である博士の指示に従って電圧を上げ続けるかどうかを観察
する実験である。その結果六割の人が最高レベルまで電圧を上げた。

「人間は歴史的習慣によって権威に従う事を道徳と考える傾向が強く、
権威ある人に命令されると個人の倫理観や道徳観をすっ飛ばしてそれに従
ってしまいがちである。そうして人はいくらでも冷酷になれる」

「政治は自分の物の見方をぶつけ合う場である。そしてお互いの物の見方
を変化させていくのが政治の本質」
・・・ならば三部会こそが政治の本質であり、議場には国民の姿が無けれ
ばならない。そして全体主義に陥らないためにはゲーム理論や陳腐な競争原
理に踊らされない事が重要だと僕は考える。あなたは勝ちたいと思うからこ
そ権威にへつらい、利用するのだ。しかしそれはあなた自身の勝利ではない。
むしろ競争から逃げているのだ。

タイトルとURLをコピーしました