まとめてつぶやき1095 喘息&アトピー性皮膚炎の解読から人体の本質を知る3

 「恋の賞味期限は三年」といわれるのはなぜか。これを解読するために私は人生の中で三年で変化が起こる現象を探し、まず二歳児のイヤイヤ期に注目し、さらに五十歳までを三年ごとに区切ってみました。すると二歳、五歳、八歳、十一歳、十四歳、十七歳、二十歳、二十三歳、二十六歳、二十九歳、三十二歳、三十五歳、三十八歳、四十一歳、四十四歳、四十七歳、五十歳というふうに人々が人生に悩み、自立や別れや脱サラを決意し、あるいは挫折し、孤立するなどの転機となる年齢を多く含むことに気づきました。そして「社会性の更新期」に挫折すると発達障害や人格障害、適応障害、家庭内暴力、アルコール中毒、反抗性挑戦障害の症状であるお金への執着(借金、浪費、ギャンブル依存症、犯罪)、年齢ごとの心身症、PTSD、そして認知症やアルツハイマー病を抱えることになると推測します。そしてこれらの共通点を考えると「攻撃抑制」という言葉が出てきます。動物の世界では基本的に家族や所属するグループのメンバーとしか関係を持たないので交尾は異性が自分の縄張りまたはパーソナルスペースに侵入することを許可することで成立します。求愛ダンスや歌は自身に敵意がないことを知らせると同時に相手の攻撃抑制を促す行動ですし、中にはカップル成立前に巣を作ってそこに意中のメスを迎え入れることで交尾を成立させる種もいます。さらにメダカのオスは男性ホルモンが高まった時には求愛行動をし、低下したときにはメスでも威嚇して追いますし、有名なところでカマキリや一部の蜘蛛のオスはメスに何度もサインを出しながら慎重に近づき、それでも交尾が済むとメスに食べられてしまいます。専門家はこれを産卵のためのエネルギー補給だとさらっと言ってしまいますが、カゲロウやミツバチ、ミズダコのように食べられないまでも交尾を終えた直後にオスが死んでしまい、産卵後には母親まで死んでしまう種族がいるのは彼らが子どもに対する攻撃抑制をかける能力を持っていない故に子どもの競争相手を減らすために戦略的な死を選んでいる可能性があります。ちなみにサルでも攻撃抑制を司る部位を抑制すると交尾中には反応が起こりませんが、交尾後のオスはメスを攻撃します。人間の場合はセックス後にプロラクチンが分泌され、両親を子育てに向かわせるために性欲を抑制すると共に男性の仕事への情熱(挑戦、冒険)を抑制して「丸くする」効果があります。さらに男性の勃起は副交感神経が優位の時に起こりますのでパートナーがいて勃起する習慣を持っていれば自ずと副交感神経優位の生活様式になっていくはずで、これは女性上位というより女性による母親から受け継いだ欠点やコンプレックスの克服および子育てのサポート役に男性は回るということなのです。

 しかし頂点捕食者たる人間がなぜ同胞に対して攻撃行動を取らなくてはならないのか。これを神経伝達物質の観点から考えてみますと私たちはまず食事をして神経伝達物質の材料となるアミノ酸を摂取します。フェニルアラニンは脳内でチロシンに変換され、ドーパミンやノルアドレナリンの材料になります。セロトニンの材料であるトリプトファンも通常の食事で摂取できます。脳内でチロシンからドーパミンが生成され、分泌されると、それは筋肉に多く存在する物質ですから同胞の分泌を促すために私たちに筋肉を動かすことを要請して脳の報酬系と呼ばれる内側眼窩前頭野(ないそくがんかぜんとうや)、腹側被蓋野(ふくそくひがいや)、側坐核などのドーパミン作動性ニューロンを活性化させます。それは私たちが喜びを感じると飛び跳ねたり駆けまわったり抱き合ったりガッツポーズを取ったりして自然に体を動かすことを知っているからで、朝目覚めるときにもアセチルコリン優位からドーパミン優位に切り替わるとすがすがしい気持ちになって伸びをし、カーテンを開ける頃にはすっかり活動モードのスイッチが入っていますね。

 この役目を終えるとドーパミンは酵素の作用によってノルアドレナリンに変化し、交感神経を刺激して覚醒レベルとやる気をさらに高めて基礎代謝系の活動(呼吸、心拍、体温維持)を促進するとともにノルアドレナリンが持つ集中力、注意力、視覚機能そして恐怖・不安・怒りなどの情動(行動の動機)を司る前頭前野や視床下部や大脳辺縁系や後頭葉などを順に起動していきます。(爬虫類脳→旧哺乳類脳→人間脳/大脳新皮質の順) そして恐怖や不安を和らげるためにセロトニンも機能し始めますが、視床下部外側野から同部と脳幹でオレキシンの投射を受けたセロトニン作動性ニューロンは覚醒と姿勢と表情筋の維持に関わり、リンパの流れも司っています。・・・ちなみにアセチルコリンも覚醒したら夜までお休みというわけではなく副交感神経の立場から覚醒の維持や注意、記憶、学習、集中力、唾液や汗の分泌、瞳や手足の筋肉、心筋、気道の平滑筋、血管、消化器、泌尿器などの収縮、歩行制御に関わっています。

 ノルアドレナリンの作用は数分間で、長く作用しすぎるとせっかく高めたモチベーションが萎えてしまいますからここで神経伝達物質としての役目を終えて速やかにメチル化してアドレナリンというホルモンに変化します。そして実際に体を動かすために血液に乗って全身を駆け巡り、血圧や心拍数を上昇させ、続いて脳や筋肉や臓器にエネルギーを供給するため肝臓で貯蔵されているグリコーゲンをグルコースに分解して血液中に放出したり、糖が不足したときには糖新生といってビタミンB6などブドウ糖以外から糖を作り出したり、あるいは脂肪を代替エネルギーとして使うためにグリセロールに分解したり、さらにその代謝産物としてのケトン体を生成したりします。―――これは糖尿病患者の体の中で行われているデフォルトのエネルギー生産方式で糖質を減らして脂質の摂取を増やすことで脂肪燃焼モードに切り替えると血糖値の乱高下(血糖値スパイク)に悩まされることがなくなることで集中力が増し、突然のエネルギー切れになることもないと言われていますが、その代償として血液が酸化します。

 こうしてお膳立てを受けて体を動かしますと筋肉の疲れもなく軽やかで元気が出ます。視床下部のドーパミンは朝ご飯を食べましょう、もう充分ですから食事を終えましょう、その次はトイレに行って運動しましょう、仕事をしましょうという風にどんどん指示を出してきますが、その通りに交感神経と副交感神経を上手に切り替えながら思考、計画、判断、実行、中止、学習、修正、空間認識、感情表現、コミュニケーションなどを行っていると気持ちよく一日を過ごすことができます。これらの活動の中でどうしても発生するストレスや疲労や活性酸素についても適切な運動と食事と睡眠を素直に行っている限り翌日に持ち越すことがありません。ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールも通常ドーパミンと同じく朝目覚めた時にピーク地まで分泌されて夜に向かって減り続けるという日内リズムを持っていて夜の眠気や筋肉疲労、思考力や活動力の低下を妨げることがないからです。体のエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)も消費されてアデノシンに分解されると疲労物質となってやはり疲労感と眠気をもたらしますが、アセチルコリンが増えて副交感神経優位になることでそれを感じることができ、心拍数や血圧が下がり私たちをリラックス状態に導いて自然に眠りへといざなってくれます。夕方以降にコーヒーを飲まない方が良いのはカフェインがアデノシンの効果を無効にしてしまうからです。家族や同僚、友人、恋人あるいは見知らぬ人といさかいが起こって嫌な気持ちで一日を終えたとしても呼吸をしている家に帰り、自然の滋養が詰まったご飯を食べ、温かいお風呂に入り、心地よい布団で眠れば翌日にはケロッとして彼らと通常の会話をすることができます。こうした自然な一日のリズムの中に人間特有の何日も何年も続く怨恨を伴う攻撃行動や衝動的な殺人やその抑圧による精神病や生活習慣病が生じることはありません。何が私たちの幸福な人生のリズムのノイズになるのか―――それは酸化ストレスと体からの命令の拒否、特に運動の拒否による離反です。

 私たちの体は常に酸化の脅威にさらされています。身体的・精神的なストレスや激しい運動、喫煙や薬の服用など能動的な原因とウイルス感染や細胞の損傷、大気汚染、浄化されて活性酸素が発生した水道水、紫外線、建材に含まれる化学物質、食品添加物、電磁波など受動的な原因により、恐らくそれらに対抗する免疫反応として体内で活性酸素が生成され、異物を排除する免疫細胞を招集するために炎症性サイトカイン(特に酸性環境下に強いインターロイキン1-βやインターロイキン6やTNF-a/腫瘍壊死因子アルファ)を動員して自ら患部に炎症を起こしたり抗炎症性サイトカイン(インターロイキン10やTGF-β/形質転換成長因子ベータ)に応援を頼んだりします。ストレスを受けるとノルアドレナリンとアドレナリンが分泌されるというのも脳の酸化を中和するために腸や腎臓で産生されたアンモニアの脳への侵入を許可したことで生じる悪影響を小さくするためと私たちにこの副作用への対応を含めた対抗策(適度な運動やビタミンA、C、E、K、ポリフェノール、カテキンなどの抗酸化食品の摂取、ストレス管理とデトックス)を講じよと要請しているのではないかと思います。つまり現場任せにしないで私たちも恒常性/健康の維持のために行動しろと。

 アンモニアが脳に入ることによる弊害―――意識障害、幻覚、錯乱、時間や場所や出来事の認識力の低下、性格の変化(怒りっぽくなる)、支離滅裂な言動、覚醒レベルの低下に伴う興奮、暴言、暴力的な行動、眠気、判断力の低下、無気力、極度の疲労感、手の震えなど。

 したがって「アドレナリンが分泌されると攻撃的になる」という認識は誤解でアンモニアの副作用により一時的な性格の変化が起こっていると認識するべきです。アドレナリンはむしろこの危機的な状況に対応して心筋細胞では常在する抗酸化物質のグルタチオンと結合して心筋を酸化から守っていますし、その他の細胞外でも活性酸素によって酸化反応を起こして同じく抗酸化作用や止血作用を発揮したり、血管を拡張させて血圧を下げたりしています。(脳虚血下で)

 ※アドレナリンの代謝の流れはアドレナリンが酸化されてアドレナリンキノンになり、これに還元型グルタチオンが結合すると5-(グルタチオン-s-イル)アドレナリンになり、活性酸素と結合したものはロイコアデノクロム→アドレノクロムと二段階で酸化され、アスコルビン酸(ビタミンC)と結合することでひとつ前に戻るという還元サイクルを形成します。これを私は抗酸化作用のリサイクルシステムと推測しました。

 アドレノクロムがミトコンドリアの電子伝達系に作用してATP生成を阻害するのはこの過程で活性酸素が発生するからですが、ミトコンドリアで作られるものはスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)といって活性酸素を除去する働きを持つ善玉の活性酸素でしかもその発生率は0.1~2%とされているのでそのためにクエン酸回路で生産される36~38個のATPのうち34個をあきらめるのは合理的ではないと思うかもしれませんが、酸性下・低酸素下の条件で活性酸素の発生がアポトーシスを誘導する内因性経路(ミトコンドリア経路)を活性化してしまうとしたら英断だと思います。それにすべてのミトコンドリアが一斉にアドレノクロムに侵されるわけでありません。それからこの段階まで来たときには私たちの意志も体も生命維持に必要な最低限の活動しかしなくなっているでしょうから慢性疲労に慣れてしまっているのではないでしょうか。

 それからもう一つ、アンモニア関係で悪者扱いされているグルタミン酸の誤解も解いておきますとその仕事はATPを消費してアンモニアを自身に取り込み、「グルタミン」となって脳内から運び出すことです。血液に乗って肝臓へ移動するとグルタミナーゼという酵素によってアンモニアは分解されて尿素サイクルに投じられます。仕事を終えたグルタミンは脳に戻り、血液脳関門という脳内へ侵入できる物質を制限している関門を形成しているアストロサイトに帰還してグルタミン合成酵素によって再びグルタミン酸に戻してもらいます。

 ※このシステムは体が虚血状態または低酸素状態になった際に腎臓でエリスロポエチン(EPO)が分泌されて骨髄に赤血球を増産するよう指令を出したときにその副産物として発生する大量のアンモニアを回収するためにも活用されます。

 「グルタミン酸は分泌過剰になると興奮性神経毒性を発揮して細胞死をもたらす」という主張は複数の要素がごちゃ混ぜにされており、その原因はカルシウムとプロスタグランジンE2(PGE2)とL-a-アミノアジピン酸(L-a-AAA)という非必須アミノ酸にあります。これは必須アミノ酸のリジン(ウイルス感染抑止、胃酸分泌、筋肉の弛緩に働く)の代謝経路で生成される物質で(古くなったり傷ついたりした)アストロサイトを細胞死させる働きを持っており、その作業のためにグルタミン酸によく似た構造部分(L体)を持っています。L体をグルタミン酸トランスポーター(輸送隊)に結合してグリア毒性を注入することでアポトーシスを起こすのですが、その間にグルタミン酸が帰還できなくなり血液中に滞留することになり、またL-a-AAAはグルタミン合成酵素を阻害する能力も持っていますからグルタミン酸の投射先の神経細胞も使われなくなり淘汰されることになります。・・・ただし行き場を失くした「グルタミン」が何に使われるかを見ると筋肉の分解を抑制し、合成を助けたり、胃腸の粘膜細胞を増やして臓器を保護したりする他にマクロファージなどの免疫細胞のエネルギー源として使われ、感染症やけがの際に大量に消費されるそうです。したがって脳内の慢性炎症に対応する炎症性サイトカインや抗炎症性サイトカインらの餌として放出されているのであり、L-a-アミノアジピン酸の発現に必要なビタミンB6を制御しているアルカリホスファターゼの指示によって行われた可能性が高いのです。マクロファージはグルタミンを分解してグルタミン酸とa-ケトグルタル酸に分解し、後者を自身のミトコンドリアのクエン酸回路に投入してATPを生成するのですが、リジンは代謝プロセスにこれら二つとの結合によってサッカロピンという中間代謝物を合成する工程経を組み込んでおり、うちサッカロピンデヒドロゲナーゼが不足するとサッカロピン尿症および高リジン血症が起こります。前者の症状は乳幼児の運動機能と精神面の発達遅延、知的障害、認知機能の障害、多動、攻撃性、社会性の低下、筋緊張の低下(乳児期に顕著な筋肉の張りが弱い状態)、歩行障害(協調運動がうまくいかずふらつきを伴う)、小頭症、けいれん発作、ミトコンドリアの機能障害、後者の症状は小児期に成長障害(低身長、低体重)、骨折、腹痛、嘔吐、下痢、高アンモニア血症によるけいれん、成人期に腎炎、腎不全、腎尿細血管病変、妊娠・出産時の合併症(貧血、出血傾向、妊娠中毒症)で一般に乳幼児(つまり先天性疾患)や高齢者が発症する病と認識されていますが、私は高血糖/酸化体質/アンモニア汚染脳状態の人や高たんぱく食の欧米人や筋肉トレーニングでリジンとグルタミンを過剰摂取している人にも発症すると考えていて少なからず初期症状を持病として抱えていると思います。小麦粉の害は高温調理しなければ食べられないことにあるのでしょう。だから欧米人はアンモニアに汚染されやすく精神病や精神安定剤やアンガーマネジメントのことばかり考えなくてはならず、一方で破壊衝動を抑えられずに世界に戦争と病気と混乱の種をまき続けるのです。

 リジン→L-a-AAA+a-ケトグルタル酸+サッカロピンデヒドロゲナーゼ(酵素)⇄サッカロピン⇄からグルタミン酸+アリシン+グルタミン酸デヒトロゲナーゼ

 さらにL-a-アミノアジピン酸が代謝されてできるアスパラギン酸がアンモニアを体外へ排出するのを助ける働きとカリウムとマグネシウムを細胞内に運ぶ働きと乳酸をエネルギーに変えるのを助ける働きがあることからもブドウ糖をエネルギー生産に使えなくなった酸性、低酸素、高血糖状態下に適応して動き出した物質であることが推測できます。ちなみにアストロサイトは破壊されても自動的に神経幹細胞から塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)によってメチル化が解除されてアストロサイトが補充されるというプロセスが起動することになっています。

 一方、「興奮性神経細胞死」の主犯のひとつはカルシウムで神経伝達物質を発現するときには細胞内にカルシウムが流入することが必要なのですが、発現時間が長くなると神経細胞死を引き起こして神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)の発症リスクを高めるそうです。しかしマクロファージの食行動で発生したはぐれアミノ酸が神経伝達物質として作動するかは分かりませんし、それよりは代謝産物としてアンモニアの運び役に徹する方が自然だと思います。

 もう一つのプロスタグランジンE2(PGE2)は細胞死を起こす明確な目的をもって貪食細胞とか「脳の掃除屋」と呼ばれるミクログリア内のEP2受容体に結合して傍分泌によってグルタミン酸を共犯者にしたり、同様の手口でアミロイドβによる神経細胞死やグリア細胞による筋萎縮性側索硬化症(ALS)を引き起こしています。アミロイドβと言えばアルツハイマー病の原因物質と言われていますが、それも少々誤解があります。この物質もやはり脳にアンモニアが到着してアストロサイト内にあるアミロイド前駆体タンパク質(APP)を活性化し、酸性条件下で働く二つの酵素(β-セレクターゼとγ-セレクターゼ)によって切断されて生成される物質で化学者たちは何の役割も果たしていないと言いますが、私はこの物質も抗酸化作用とアルミニウムなどの重金属イオンの回収によって脳内のデトックスに貢献していると思います。というのもアミロイドβは私たちが眠るだけで脳脊髄液によって排出されてくれますし、これを分解する酵素もインスリン分解酵素(脳内。高血糖が続くと糖の分解に専念する)とネプリライシン(腎臓、小腸、胎盤、免疫系の細網細胞、精巣、卵巣担当。ドーパミンにより活性化)と充実していますし、エストロゲンもβ-セレクターゼの活性抑制とアミロイドβの排出促進作用(恐らくこれも高血糖下で働きが追加される)を持っていますから通常沈着することはありません。それを蓄積させて老人斑と呼ばれる帯状のペプチド集合体(数千個)を作り上げてしまう本当の原因は糖とタンパク質が結合する糖化反応でありAGEs(終末糖化産物)と呼ばれる物質に変化したときです。それはエネルギーとして消費されなかった過剰なブドウ糖が細胞外の物質に手当たり次第に取り付いた結果であり、脳内だけでなく目の水晶体や心臓や肺や腎臓、足、骨と血管のコラーゲン、肌などにも蓄積して老化現象を引き起こします―――動脈硬化、骨粗しょう症、白内障、アルツハイマー型認知症、がん、変形性関節症、糖尿病の三大合併症である神経障害、網膜症、腎症およびシミやしわなど―――。

 そこで糖化反応を詳しく調べていくと糖化反応にかかわる主な反応物質は糖質(ブドウ糖や果糖の還元糖:グルコース、ガラクトース、マンノース、NアセチルDグルコサミン、NアセチルDガラクトサミン、フコース、キシロース、シアル酸)、タンパク質(コラーゲン、エラスチン、ヘモグロビンなど。アミノ酸ではアミノ基を持つリジンとアルギニンと結びつきやすい)、脂肪(体内に蓄えられた脂肪すなわち内臓脂肪、中性脂肪)、アルデヒド(糖の代謝物や脂肪酸の酸化で生じたもの)など古くなったエネルギー源およびその代謝物につきやすいことが分かり、死滅した細胞や任期を終えた免疫細胞やターンオーバーで廃棄された肌細胞や角質などもその対象に入ることが想像できます。次に最初の反応を検索するとメイラード反応という言葉と共に「シッフ塩基」という言葉が出てきてその生成方法は「一般的に第一級アミンとアルデヒドまたはケトンの脱水縮合反応によって生成される」とあり、乳酸によるエネルギー生成方式が見えてきます。さらに脱水縮合反応はどんな条件で起こるのかを検索すると「中性からアルカリ性の環境下で反応が促進される」と出ました。さらに「水分が少ないほど反応が進みやすい」とあり、脱水状態で老化現象が促進されるのですから高齢者の体の状態と一致します。ここに先ほど導き出した高リジン血症を組み合わせると脳内の老人斑の本当の原因が見えてきませんか。糖尿病は関係ないのです。その裏付けを与えるようにAGEsの蓄積を回避する注意書きとして「AGEsは砂糖の大量摂取だけでなく、焼く、揚げるといった高温調理によっても生じ、一度合成されると大変分解されにくく、その主な代謝先である腎臓に蓄積しやすい。ある例では八年間一日二十本喫煙していた人のAGEs値が喫煙前に戻るまでに十五年かかった」とあります。・・・私たちは本当にブドウ糖を過剰に摂取しているのでしょうか?症例に出てくる患者たちは確かにケーキをワンホール一人で食べたり、大福を五個モロッコも食べたりして甘い物への渇望を抑えられないようですが、ジュース一杯飲んだだけでキレて手が付けられなくなる若者はそれほどのキャリアがあるとは思えません。私たちは糖尿病についての見識を改めなくてはなりません。

 ※その前に糖の役割について弁護しておきますとそれは細胞同士を結び付ける働きをしており、複数種の糖が連なった糖鎖というものが細胞表面(タンパク質や脂肪細胞)にくっ付いていて細胞を熱や分解から守ったり、細胞の品質管理をして修復や新陳代謝の信号を出したり、血液型によって型が違っていて個体識別に役立っていたりします。細菌やウイルスや毒素や薬剤もそこからアクセスして接着したり細胞内に侵入したりして作用します。この糖鎖も糖化反応によって細胞にくっ付いているのです。

 脳はストレスを感じると活性酸素とノルアドレナリンとアドレナリンとコルチゾールその他を分泌し、体温や心拍数を上げ、脳や筋肉や臓器にエネルギーを供給するために血糖値を上げます。アドレナリンは肝臓からグルコースを取り出して血液中に放出し、これを細胞内に取り込ませるために膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞はインスリンを分泌します。インスリンは脳細胞や筋肉細胞や脂肪細胞の細胞間にあるインスリン受容体に結合してチロシンキナーゼを始めとする伝達物質(内線係、IRS-1、PI3キナーゼ、プロテインキナーゼB)にシグナルを伝達してブドウ糖トランスポーター(GRUT-4など)に細胞膜まで出てきてくれるよう指令します。そしてこれに応じてGRUT-4が出てくるとブドウ糖の取り込みが始まります。 しかしGRUT-4に指令を出すインスリンシグナル伝達に障害が起きると糖の取り込みが始まらず、高血糖状態とエネルギー不足は簡単に起きてしまいます。しかもここまでの工程で私たちが物を食べる必要はありません。

 カギを握っているのはホスファターゼという酵素でタンパク質をリン酸化するプロテインキナーゼと対をなして脱リン化することで細胞の活動のオン/オフを切り替えたり、働きの促進/抑制を切り替えたりして個々の状況に対応しています。しかし高血糖状態や酸化ストレス下や慢性的な炎症などでこれが過剰に働くとがんを抑制しているシステム(例えばPTENという酵素によるPI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路の抑制)をダウンまたは解除してしまってその発症と進行を許してしまったり、炎症反応を終了するシグナルを阻害することで細胞核/DNAまで破壊してしまったり、サイトカインストームという最悪の自己免疫疾患を発動させてしまったりします。実際にインスリンに作用するものもあり、プロテイン-チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)はインスリン受容体のチロシン残基を脱リン酸化してチロシンキナーゼを阻害しますし、赤血球のホスファターゼも亢進するとインスリン受容体を脱リン酸化して糖の取り込みを阻害します。(脂肪や乳酸によるエネルギー生産への切り替えのため)さらに決定的なのは膵臓のβ細胞にいるプロテインホスファターゼ2AはB細胞を機能不全や細胞死に陥れてインスリンの分泌そのものを止めてしまいます。こうして高血糖をきっかけにして体の中では迅速に恒常性を維持するメンバーの入れ替えを行っていくのです。そしてアルカリ性環境下で働く(最適pHは10.2)アルカリホスファターゼ(ALP)の天下となる。これは脳の毛細血管を構成する内皮細胞の膜に非常に豊富に存在しており、血液脳関門の酵素バリアの一部を担当している他、血液中の不要な物質を分解する働きと脳内のビタミンB6の合成及び代謝を司っています。ビタミンB6は女性の生理にも重要な栄養素でしたがその働きをおさらいしておきますと、

 ・タンパク質と糖質(炭水化物)と脂質の代謝およびエネルギー生産

 ・アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミン、GABA、ヒスタミンなどの生体アミンの合成に関わり認知機能の維持と精神疾患の抑止を司る(特にアンモニア環境下で)

 ・赤血球や性ホルモンや骨の材料

 ・ホモシステインというアミノ酸の代謝を促進することで動脈硬化やがんを予防

 ・アレルギー反応や酸化ストレスへの対応

 ・アルコールやピロリン酸(食品添加物、歯磨き粉、洗剤添加剤その他)、フェノールのリン酸エステル(塩化ビニル樹脂、合成ゴム、接着剤、潤滑油)などの化学物質の脱リン酸化

 アミンというのは「アンモニア(NH3)の水素原子を炭酸水素基で置き換えた化合物の総称。生体アミンは微生物の脱炭酸酵素により食品中のアミノ酸から生産する生理活性物質で神経伝達物質として精神を安定させる働きがある」と説明しています。この中には私が以前食事の時に他の神経伝達物質を抑制して独裁的に振る舞うことを指摘したヒスタミンが含まれていますし、チラミンには交感神経の神経末端からノルアドレナリンの分泌を促進して血圧や心拍数を上昇させる働きがあり、チーズやチョコレート、サラミ、レバー、柑橘類、二審の塩漬け、ビール、ワインなどの苦み成分として含まれる栄養素とあり、糖代謝が崩壊した後の体では食べた物がより直接神経伝達物質の生成、分泌に影響を及ぼす世界になるようです。

 では体の中でそんな大変化が起こっている時、または起こり得る時に私たちは何をしているのかと言えばストレスに対してノルアドレナリンとアドレナリンが「逃走せよ」と指示を出し、コルチゾールが摂食行動(闘争)を促し、甘い物、塩辛い物、脂肪が多い物への渇望を駆り立てるのを受けて「ストレスを感じる度にものを食べるわけにはいかない」とか「社会的な制約があってストレス源と戦うことも逃げることもできない」と言い訳をして運動や気分転換(空の食事)をすることさえせず、同じストレスにさらされ続けながら(実質アンモニアに駆り立てられた筋肉を使わない自己破壊行動である)飲酒、喫煙、ゲーム、ギャンブルなどのドーパミン行動にのめり込んで「負けたら動く」「ピンチになったら動くからドーパミンをくれ」と脳をだまして快楽をむさぼり、わざわざ負けたり悔しい思いをすることにばかり取り組んでいたりします。(いわゆるワーカホリック) しかも物を食べて血糖値が上がったわけではないのでインスリンにもう充分と信号を出すのが遅れがちになり、血糖値を下げすぎてしまって低血糖になると再び体は生命の危機を感じて興奮剤を分泌することになります。若者の精神障害を研究している人が口を揃えて「低血糖症が原因」と指摘する理由はここにあるのです。つまりストレスに正しく対処せず、空の血糖値に快楽行動でいい加減に対応して済ませようとするから火に油を注ぐことになってしまうのです。

 アドレナリンはそんな私たちの行動パターンをちゃんと学習していて血液の再配分を決める権限をもって生命維持や私たちが選択した活動に必要のない部位への血流を減らしてしまいます。これにコルチゾールが筋肉の分解を促進し、筋肉の合成にかかわるテストステロンの分泌を抑制した結果、「中心性肥満」という体型ができ上がってしまいます。手足は細いのにお腹や体幹部に脂肪が集中して付いた状態で、皮膚が薄くなって赤い筋(皮膚線条)ができやすくなります。それは女性がセックスの時に全身が性感帯になる状態に似て皮膚刺激に対してストレスを感じやすくなるため人との接触を避けたり神経過敏になる要因となります。応援や注意や指導などの他者からのドーパミン分泌の働きかけに対して反抗や怒り、威嚇行動、すくみ反応、イップスなどで対応してしまう人はコルチゾールによる行動抑制にへつらい、決められた行動をしないとアドレナリンやドーパミンの供給を受けられないと思い込んでこれらにもへつらっているので体に生命維持と快楽行動だけあればよいと判断されて統合失調症やパーキンソン病や反社会的な人格障害を引き寄せることになります。人間は食べなくても肥満体型またはメタボリックシンドローム(内臓脂肪の蓄積)になりますし、食べていても飢餓遺伝子が発現することもあります。逆に大食いの人がどれだけ食べても太らないのは糖代謝によるエネルギー生産及び消費体制が崩壊して体脂肪や筋肉のたんぱく質を取り崩してエネルギーを作っているからかもしれません。努力もしないで理想の体なんて手に入らないのです。

 さらに四週間もすれば事態はさらに悪化してアドレナリンが効きにくくなって第二位に転落し、十二指腸潰瘍や高血圧や不整脈を始めとする心身症を発症したり、細胞のDNAを損傷させて免疫力の要の一つである胸腺を委縮させたりするようになります。そして第一位に繰り上がるのがヒスタミンです。慢性的なストレスや高血糖は体のさまざまな所で血管が傷つき、胆汁が流れる胆管からアルカリホスファターゼが漏れ出してあちこちで脱リン酸化を行うようになったり、肝臓の細胞が傷つくことで血に含まれるタンパク質を腸内細菌が分解してアンモニアを作りすぎたりしてこれも第一位の座を占めていくようになります。

 また慢性的な炎症で脳の視床下部の視交叉上核で生産されている血管作用性腸管ポリペプチド(VIP)の分泌が止まるとサーカディアンリズム(哺乳類の睡眠、活動、注意力、体温、ホルモン分泌、免疫機能、消化機能などの概日リズム)が狂って睡眠障害を起こし、その影響からドーパミンやコルチゾールの分泌がピーク地まで上がらなくなり、かつ血中濃度が上昇する時間もずれていって活動力の低下とうつ症状が深刻化していきます。ドーパミンの低下には脳下垂体の中葉から分泌されるa-メラノサイト刺激ホルモンがドーパミンの前駆物質ドーパを酸化してメラニン生成を促すことで関与しますがドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、GABAの分泌を直接抑制することでもその制御システムに関わってきます。(アセチルコリンとグルタミン酸の分泌を促進。セロトニンはこの物質の分泌を促進する) このホルモンは食欲を増進する働きもありますから活性のきっかけはアルカリホスファターゼがチロシナーゼを抑制したときである可能性があります。さらにヒスタミンと同じくこのホルモンも交感神経の活動を亢進させる働きがあり、怠け続けた私たちの意志にいよいよエネルギーを消費するよう強請してきます。しかし特にヒスタミンの作用によって心拍数は高まっていながら低血圧、低体温という異常なコンディションでの活動を求められ、恐らくこれに対応するために交感神経優位でデフォルトモードネットワークを起動するとか脳の前側優位のままで背側部位も動員するという特殊な体質に変わっていきます。そしてこれが病気として現れると敗血症や代謝性アシドーシス、乳酸アシドーシス、慢性疲労症候群、クスマウル呼吸(深く速い呼吸)、低酸素症による重度の不安、重症の喘息、無気力、昏睡、さらに脱水が加わると循環器ショックを合併して嵐の前の静けさのような初期症状が出てきます。(脱力感、不整脈、発汗、不安、のどの乾き、粘膜の乾燥、皮膚の張りの低下、四肢の冷えなど) この状態ではa-メラノサイト刺激ホルモンの好意で分泌されたオキシトシンは対人恐怖症や神経過敏や猜疑心を亢進させる方向に働き、境界性パーソナリティ障害を伴って身内にも過度な要求や試し行動を行って常に敵味方をはっきりさせたがるようになり、抑えられない攻撃性は自分自身にも向かってドーパミン行動の危険度が上がります。

 恐ろしいのはこうした体質や精神状態の変化が人間の共感能力を通じて家族や仲間にも伝染することです。女性は生理周期を通じてあらゆる病態を経験すると書きましたが、妊娠中にも妊娠糖尿病やマリッジブルーを通して高血糖/アンモニア汚染状態を経験しますから引きずると乳幼児にも伝染しますし、また友人同士、恋人同士、クラスメイトや会社やNGOや宗教団体などの社会集団、そして民族や国家でも伝染します。家族や学生やサラリーマンなどがみんな同じような格好をし、同じような思考パターンや性格になるのはそのためです。故に認知閾(にんちいき)といって問題解決能力に上限ができやすくバイアスや思い込み(ミーム、スーパーミーム)を形成してしまうのです。そしてこれを拒否する人たちとの間に不和、分断、対立、迫害、差別が起こり、外界との接触や自身の修練や社会経験によって問題解決能力を飛躍させるひらめきや思考パターンの一新が起こると自立、別れ、または社会の革新が起こります。これが起こるのが大体三年で他者から受けたバイアスからは離れやすく、自分のバイアスからは逃れにくいでしょう。大きな不幸や大病に見舞われた人も考え方が変わりやすいです。

 ※前回お話ししたセイリエンスネットワーク(顕在性ネットワーク)の仕組みによれば一日の運動時間が長いと島皮質は活性化を保ってオンの状態である中央実行ネットワークが優位な時間となりますが、座位の時間が長くなるとオフ状態であるデフォルトモードネットワークが優位になって映画や音楽の鑑賞者のような態度になります。そしてこの時同時に活性化するのが認知バイアスです。認知バイアスは「偏り、偏見、先入観」を意味する認知心理学や社会心理学の用語ですが口コミラボの説明を引用しますと「物事を判断する際に直感やこれまでの経験に基づく先入観、または他人の思考からの影響など、何らかの理由によって論理的な思考が妨害されることで非合理な判断をしてしまう心理現象」です。しかし私の印象ではストレスの積み重ねやマルチタスクの使い過ぎによる脳疲労または解決困難な問題に直面した際にその状況から利益を得る方法を見出してもはや「解決しなくていい」と決めた時にバイアスが発動して直感や経験則または外部からの影響など即物的な判断(=競馬の予想的な判断)を助ける要素に頼りがちになってしまう精神状態を指す言葉です。バイアスの種類は百を超えるそうですが、そういう目で見ますとマーケティングに利用されることもあって利益に関するものが多く、同時に女性や追い詰められた男性の思考パターンに似ているという感じです。解説のあった代表的なものだけここに挙げてみましょう。ベースは同じく口コミラボの『認知バイアスとは?!9種類を紹介・先入観から逃れるコツ』からです。

 1.ハロー効果―――ある特定のものに対する評価が因果関係のない別のものの評価に同様の影響を与えること。例えばある商品の一つの特徴が高く評価されるとその他の要素の評価が免除されること。また一つ飛び抜けた才能があるとその人の性格や生活習慣のまずさが許されること、逆に悪い人や嫌われ者のレッテルを貼られた人はどんな善行を行っても認められないこと、さらに有名なキャラクターやブランドロゴが貼ってあるとと物の良し悪しに関係なく売れてしまうことなど。いわゆる「恋は盲目」もこれに当たる。

 2.アンカリング効果―――最初に目に入った情報や最も印象に残った選択肢によって決断が感化されてしまうこと。衝動買いがこれに当たる。

 3.コンコルド効果―――それ以上投資しても損失になってしまうにもかかわらず、すでに投資してきた分を惜しむ気持ちから投資を続けてしまう心理。ヤンキー彼氏や飲んだくれ亭主を更正させられると信じて暴力やカツアゲに耐えてしまうなど。

 4.バンドワゴン効果―――多数の人が選択した判断や選択は個人の判断や選択よりも優れていると思い込んで意思決定に影響を受けてしまうこと。勝ち馬に乗ることが習慣化している人も少なくない。

 5.確証バイアス―――自分の主張を強化するために都合の良い情報や思い込みを強化する情報を選択的に集めてしまう心理。これも反対意見などを無視、敵視したりする。一度良い人、優秀な人、信頼できる人と評価すると明るみになっていくマイナス情報を無視して受け付けなくなる。

 6.内集団バイアス―――自分が所属している集団は他の集団よりも優れていると思い込み、身内びいきしたり外部の人やその意見を差別、軽視、敵視してしまう心理。組織の意向や習慣に影響されて考え方を変えられてしまうことも含まれる。

 7.ピーク・エンドの法則―――一連の経験の中でピーク時の感情と結果に対して負った感情を比較してその経験全体の印象を決めること。いわゆる「終わり良ければ総て良し」の心理的態度。ギャンブルのように最後に負けて痛い目に遭っても勝っていた時の記憶を強く残してのめり込む人もある。

 8.後知恵バイアス―――結果が分かった後に「そうなると分かっていた」と主張すること。マイナーなミュージシャンがメジャーに上がってきた時に「売れると思ってた」と自慢げに話す人など。

 9.正常性バイアス―――不測の事態や緊急事態が起こった時に「自分だけは大丈夫」と楽観視して適切な対応を取らず、いつも通りを貫こうとすること。鑑賞者的立場から「自分には関係ない、画面の中の出来事だ」と思っている可能性もある。

 10.バーナム効果―――誰にでも当てはまる曖昧な情報を自分にだけ当てはまると信じてしまうこと。これは脳幹にあるRAS(網様体賦活系)と呼ばれる器官の働きによるもので五感から入る膨大な情報の中から自分にとって重要な情報だけを選択的に意識化します。「願い事は口にすることで叶いやすくなる」といわれるのはここの働きを強化することで目標達成に必要な情報やチャンスを見つけやすくなるとされているからです。

 11.自己奉仕バイアス―――成功は自分の能力のおかげで失敗は人的要因や環境要因のせいと考える心理。

 12.ダニング=クルーガー効果―――知識や能力の低い人ほど自分の能力を過大評価する傾向のこと。補足するなら社会的挫折感や無力感を回避するために自分を大きく見せてマウンティングしたがる心理と言えます。

 13.利用可能性ヒューリスティック―――記憶に残りやすい情報や最近の出来事を評価や判断基準の上位に持ってくること。女性が男性の過失や悲しみの記憶ばかり集めてまとめて放出することを快感としているのはこのバイアスによるものでしょうか。あるいは言い訳を構築する時の傾向?

 14.ネガティビティ・バイアス―――ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意が向きやすく、これを選択的に記憶する傾向。これも経営哲学の一つかと。

 15.ツァイガルニク効果―――達成できなかったことや中断したタスクは達成されたタスクよりも強く印象に残る現象。この仕組みも真っ当に使う人は仕事を終える前に明日の課題を設定しておけば寝ている間にもそれが準備されて翌日の仕事が快適にはかどると考えますが、「解決しなくていい」をモチベーションにして刹那的な快楽や利益を追求する人にとっては罪悪感や劣等感、社会的挫折ストレス、そして解決や終結をもたらす脅威となる人または情報をいつまでも原動力として社会忌避的行動をやめられない原因になります。

 以上、15例を挙げてみましたが、これらは情動を司る大脳辺縁系が過活動をなってそのストッパーである前頭前野が抑制された時に発現します。より詳しく言えば前頭前野のセロトニン作動性ニューロンが大脳辺縁系のうちでも恐怖や不安を司る扁桃体を制御できなくなるとバイアスが発現し、(恐らく習慣化によって)重症化するとパニック障害や全般性不安障害に発展します。「女性はすぐに感情的になる」という指摘は正にバイアスの発現を表しているわけで「自分が正しい」(または現状を維持してもよい)という結論に落ち着くまでこれを繰り返します。さらにその主張が通ったことによる成功体験によっても繰り返します。

 二つ目の視点として脳波の同期による攻撃抑制を示します。『思考が物質に代わる時 科学で解明したフィールド、共鳴、思考の力』(ドーソン・チャーチ著、島津公美訳、東京医科大学名誉教授工藤玄惠/もとしげ監修、ダイヤモンド社)によれば私たちの体は三十七兆個の細胞によって構成され、毎日六百億個、一秒ごとに八十一万個以上ずつ入れ替わっているそうです。さらに脳内でも約八百四十億個の神経細胞と同数の非神経細胞が毎秒一つずつ入れ替わり、心筋細胞は年に0.5~10%、骨格も年10%入れ替わっています。しかしそれでも私たちは周りの人とお互いに心拍数や脳の活動状態に影響を与え合いながら暮らしており、会話をしたり情報を共有したりすることでそれらを同期させ、協力行動を取ったり共感したり相手の話や教えを理解したり安心や安全を担保したりしています。原則としてポジティブな感情は脳も心臓も同期しやすく、ネガティブな感情は心臓の同期を拒否するようで個人においても脳と心臓の周波数が同期していると適切な直感や行動や創造性が生まれやすく行動的になり、ネガティブな感情に支配されている時にはこれらが抑制されて消極的、受動的、不活性になります。

 これに関連して自閉症の人は相手の周波数を読み取ったり同期させることができないのかと考えましたがそうではないらしく、言葉や視線や表情などの非言語コミュニケーションによる電意思疎通を読み取る能力が低いことと、特に高音の周波数(恐怖、驚きなどに接したときに出る叫び声、悲鳴、嬉しい時の興奮した声、高音の怒声など)に対して過敏に反応してしまい、ストレス反応としての常同行動(手足をひらひらさせる、体を揺らす、同じ言葉を繰り返すなどのルーティン行動に入り込む)を発動してしまうことがあるようです。ただし2000~4000Hz周波数は万人が不快に感じやすい音で警告音や家電製品のアラーム、赤ちゃんの泣き声や黒板をひっかく音、水道水がシンクに流れる音などに含まれているそうですから反応自体は悪くない、むしろ危険に直面して何も考えずに集団ヒステリーに参加してしまう人々の方が危険です。こういう時私の脳は伝染した感情に乗った取られてしまい、ストレスや不安に関連する高ベータ波が脳にあふれて冷静な判断力を失うだけでなく、一致した行動も取れなくなって避難もままならないということになりかねません。もう少し身近なことを言えば流行のスイーツを並んで食べに行ってもそれを勧めた人の満足感しか得られないということがままあるそうです。私たちは自分の抱いた感情が自分自身から発せられたものかよそから伝染してきたものかを区別する能力乏しいからです。だからあなたに商品を勧めた人が自己顕示欲を満たしたいという念をあなたに送ったとすればあなたはその人と自分自身の自己顕示欲の充足しか味わえないことがあり得るわけです。そして満足できないからその人に依存してしまう、その人と一緒でなければ満足を味わえないのではないか、自分の選択は間違っているのではないかという錯覚や不安を抱かされてしまうのです。

 これが攻撃抑制とどう関係しているのかと言えば独裁者などの指導者が敵とみなした個人や集団を無条件に敵とみなして攻撃や差別をしたり、あるいは影響を受ける人が変わることによって嫌いな周波数が変わり、「波長が合わない」として喧嘩別れしたりすることが日常的に起こり得ることです。(不良仲間ができた青年及び新興宗教に入信した人とその家族の関係性など) 言い換えれば人は自身の行動力やアイデアや前向きさ、開放感をもたらしてくれる人を好きになり、心拍数が合わない人を嫌いになって遠ざけるということです。

 

 攻撃抑制は脳のどの部位で行われているかと言えば内側前頭前野、平たく言えば頭の前の部分です。その働きはセロトニンの投射を受けて攻撃行動や不適切な行動を抑制することで、感情的な情報と認知的な情報を統合、精査して状況に応じた適切な意思決定を下しています。腹内側前頭前野と背内側前頭前野によって構成され、前者は扁桃体の活動を抑制することで感情的反応や恐怖反応を抑制する、衝動的な欲求を抑制して長期的な利益に基づく意思決定をする、特にストレス反応として分泌されたノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンを制御して暴走を防ぐ、目標達成のために計画し、かつ行動を持続するためのモチベーションを維持するなどの機能を持っていて思春期から若年成人期にかけてここの神経ネットワークが急速に発達します。後者は自分発信のコミュニケーションや共感に関与し、自己の報酬だけでなく他者の報酬も考慮して総合的な価値判断を下したり、コミュニケーションによる楽しさを感じたり相手の反応を予測したり表情や身振りから感情を読み取ったりします。・・・ただし攻撃が始まってしまうと腹内側の抑制効果がキャンセルされてセロトニンが恐怖の抑制に使われるようになる他、攻撃行動を持続する感情をブーストしたり腹側運動前野と連携して相手の反撃に対応したりします。

 ※筑波大の研究によれば外敵から挑発を受けたマウスは嫌悪刺激や社会的葛藤やストレス応答に関与する外側手綱核が活性化してグルタミン酸をブースト器官である背側縫線核に投射すると攻撃行動が激化します。その仕組みは背側縫線核はドーパミン産生ニューロンとセロトニン産生ニューロンを持っていて報酬系の腹側被蓋野にドーパミンを投射して快のレスポンス(報酬)を駆り立てながら腹内側前頭前野にセロトニンを大量投射して恐怖を抑制することで成立させているのです。さらに脳内にセロトニンが増加するとデフォルトモードネットワークを司る後部帯状回さえ暴走して(男性ホルモンやアドレナリンとの相乗効果で)一層攻撃性が高まるほか、大脳基底核にある線条体も「相手の反応が自身の行動に起因する」するかによって行動を変化させる」機能によって攻撃参加し、中脳水道周囲灰白質(PAG)も攻撃(摂食行動)に参加して痛みと恐怖反応を抑制していますからこの時セロトニンを抑制しても攻撃の激化は収まらないでしょう。

 ※さらに国立研究開発法人日本医療研究開発機構が発表した『代わる代わる互いを押さえ込む2つの脳部位がPTSD患者の恐怖ON症状とOFF症状をスイッチさせている』によれば恐怖感情は扁桃体と腹内側前頭前野がお互いを交互に抑制し合うことによって抑制されたり強化されたりを繰り返しており、これが攻撃の持続やエスカレートにも関わっている可能性があります。なお、サイコパスの脳ではこれらいずれも機能が低下しているゆえに恐怖感情がなく、衝動の抑制や感情の共有が困難になっているそうです。

 したがって攻撃抑制はここだけで行われているわけではなく、摂食行動(狩り行動)の抑制に関わる脳の部位や神経ペプチドも攻撃抑制を補佐していると思われます。その根拠としては攻撃性にかかわる人格が食事によって作られていることと恋愛感情や人間関係のストレスやうつ病(攻撃抑制及び内攻)が食欲の増減あるいは摂食障害につながっていることなどです。食事と攻撃性の関係として一番に思いつくのはお腹がすくとイライラするという生理現象でしょう。空腹を感じるときには血糖値が低下しており、これを生命維持の危機と判断した脳はコルチゾールを分泌して血糖値を上げようとしますが、交感神経を刺激することによって分泌されたノルアドレナリン(覚醒維持)とアドレナリンが攻撃性をもたらします。(狩り行動の開始を促している?)

 それからもう一つ、私の印象では脳の内側系は外界の状況を把握し、かつ一方的に干渉する際に活動し、外側系は自己認識や自発的に外界に働きかける際に活動する部位で一方が活性化している時に他方は抑制されており、その切り替えによって現実を認識して適応することを可能にしているのだと思います。

 実際の機能を見ると視覚情報の処理経路には二つあって後頭葉の一次視覚野から側頭葉に流れる腹側経路は「What経路」と呼ばれ、視覚対象の形、色、そして顔などの詳細な特徴を把握することでそれが何であるかを認識します。そして長期記憶や情動を司る海馬や扁桃体に情報を送ります。これを観察者の態度、他罰的認知とします。

 一方、一次視覚野から頭頂葉へ流れる背側経路は「Where/How経路」と呼ばれ、視覚対象を俯瞰的、客観的に捉えて物体の位置や立体形状や動きを把握し、さらに空間全体も認識してそれがどこにあって私はどのように対処すべきかを判断します。そして実際にその物体にアプローチするために運動に関する脳領域に情報を伝えます。これは内省的かつ能動的な態度です。

 さらに認知機能から見ても内側系は行動の発現における外因的動機付けや意思決定に関与し、外部刺激に対する感情やストレス反応に対応しているのに対し、外側系はやはり空間認識と物体に対する動作の制御を行っています。これらも通常は目的や状況に応じて切り替えが行われていますが、テレビやPC、スマホによって「見るだけ」が強化されやすい環境では内側系が優位になりやすく、観察者の視点や他罰的な視点がさらに自己認識や内省を遠ざけてしまいます。これが攻撃抑制の阻害要因となって反省、諦め、敗北、学習を拒否する頑固な人格を作り上げ、恐らくこれを摂食行動を抑制する作用を持つa-メラノサイト刺激ホルモン(a-MSH)が強化すると思われます。a-MSHは脳下垂体の中葉で産生され、皮膚のメラノサイト(色素細胞)を活性化してメラニンの産生を促すペプチドホルモンですが、視床下部のメラノコルチン受容体に結合することでドーパミンとオキシトシンの分泌を促進して摂食行動を抑制しながら男女の性欲を増進する働きがあり、さらに社交性を低下させて他の個体との接触を避ける行動を促します。これをパートナー以外の異性への興味を失う作用と解釈するならば孤独な人が引きこもりがちになる理由を説明することができますし、独り者や孤独な人にとってオキシトシンは排他性や独善に作用しますからこれらも気持ちの切り替えや攻撃抑制、そして社会性の更新を阻害する要因になります。そしてこれに手元が狂って物を取り損ねる、コップの水を口元まで来てこぼしてしまう、顔にシミができやすくなる、頻尿や尿漏れなどの症状を加えると更年期障害に集約することができます。メラニンは摩擦によっても分泌されるのでデリケートゾーンが黒ずんでいる人などはスキーン腺の刺激も受けやすくなっている可能性があり、それで頻尿や尿漏れを起こしやすくなるのです。さらには神経過敏による心身症としての腰痛や関節痛や神経痛なども発症しやすくなるかもしれません。―――その場合「紫外線に当たりすぎるとシミができる」というのは二次的なもので実は顔のこすりすぎや化粧品による刺激、顔面神経に対するネガティヴな刺激あるいはa-MSHの分泌を促進するセロトニン、アセチルコリン、グルタミン酸が原因ということになります。

 しかも背側系の抑制によって「行動」を抑止しているために怒りや不満、恨み、憎しみ、わだかまりなどネガティヴな感情を持続しやすく社会性の更新に対応できなくなり、物事をはっきりさせたりすることもなく威嚇行動や葛藤行動あるいは笑ってごまかすことで自己肯定感が低下し、不安や衝動に負けやすくなり、これを緩和しようと砂糖を過食したりドーパミンやコルチゾールの分泌を促進したりすると副腎疲労が甘い物や脂肪が多い物、塩辛い物を欲することで摂食行動を亢進させる側坐核や腹側被蓋野が活性化してますます攻撃性を高めることになって反社会的行為や挑発行動、自己破壊行動やギャンブルなどの危険行動に走ることになり、低血糖症及び糖尿病から覚醒障害を起こすとこれも凶暴性を高め、覚醒を維持するために怒り続け、攻撃し続けなければならなくなり、コルチゾールが脳内でエネルギー補給のために脳細胞を破壊し始めるといよいよアルツハイマー病や認知症を発症して抵抗さえできなくなるという死の王道を辿ることになるのです。

※アルツハイマー病患者は砂糖への渇望を抱えており、統合失調症患者はビタミンB6と亜鉛不足を抱えており、ビタミンB6は糖質、タンパク質、脂質および薬剤の代謝に使用されるのですからこの患者も過食や砂糖の摂りすぎを習慣化している可能性が高く、砂糖は攻撃性を高めることが知られています。彼らの癇癪は低血糖に伴うノルアドレナリンやアドレナリンの過剰分泌によって起こっているので抗ヒスタミン薬やヒスタミンを抑制するナイアシン(ビタミンB3)やビタミンCの処方は逆効果になります。神経伝達物質としてのヒスタミンは通常ストッパー役を担っており、H3受容体に結合することで様々な神経伝達物質の興奮を解除する作用を持っているからです。

 また少年少女期の肥満は精神障害や思春期早発症やアレルギーの原因になります。欧米ではここ十年で女児の初潮年齢が十五歳から十二歳に早まっており、さらに十キロ以上太っている肥満の女児は80%の確率で九歳の誕生日を迎える前に乳房が膨らみ始め、次いで陰毛や腋毛が生え始め、十二歳までに初潮を迎えています。一方男児は八歳までに女性様乳房が発達し、九歳半までに陰毛の発毛や精巣及び生殖器の肥大が始まりますが思春期の開始年齢は遅れています。さらに男女とも骨の成熟が早くに完了してしまって(骨端の早期癒合)例えば七歳までは高身長であったのに成長が完了する十三歳までには百五十センチ台の低身長で止まってしまっているといった過程をたどることになります。思春期が早まった女子は学業成績が悪く(慢性炎症やインスリン抵抗性により神経が炎症を起こして認知機能が低下する)、うつ病になりやすく、性行為や飲酒の開始年齢も低い、またエストロゲン過剰による生殖器がん(卵巣がん、子宮がんなど)の発症リスクも高まるそうです。要するに老化の促進が起こっていると言えます。

 ※乳房の膨らみと初潮あるいは精通のメカニズムは別物で、思春期以降の乳腺の発達を促すのはプロラクチンで思春期前の子どもの乳腺の発達を促すのはエストロゲンと成長ホルモンといわれています。そして初潮と精通を促すのはエストロゲンとゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH。ゴナドトロピンは卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの総称)、身長を伸ばすのは成長ホルモンです。アンドロゲン(男性ホルモン及び女性ホルモン)は成長ホルモンの分泌を促進する働きと身長を急激に伸ばす「成長スパート」の働き、そして骨の端にある成長軟骨を骨化させて閉鎖し身長の増加を止める働きがあります。それから甲状腺ホルモンは基礎代謝と骨の代謝で成長ホルモンを助け、ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を促進して骨を強くします。ビタミンDが不足すると年間0.6センチ身長の伸びを阻害すると言われています。

 ・・・ただプロラクチンにも卵巣機能を抑制する働きがあって第二次性徴の発現を抑えることができることとから思春期以前の二歳から十二歳の間にプロラクチンの分泌が過多になると胸部の女性化と男児の思春期開始の遅れを引き起こし、アンドロゲンの分泌が過剰になると男性化と女児のニキビと体毛の多毛をもたらすと考えられます。

 もう一つ鳥類の発情期と求愛の歌の発達および学習にかかわるニューロテンシンもヒトで思春期の開始を告げるホルモンとして機能します。その機序はレプチンの働きにより卵巣にエストロゲンが一定量分泌されると内側視索前野のエストロゲン受容体へ投射して傍分泌によってニューロテンシンを分泌させます。そしてニューロテンシンが同じ脳領域内にあるニューロテンシン受容体1に結合するとゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)産生ニューロンが活性化してGnRHが分泌され、これが下垂体門脈系と呼ばれる血管を通って視床下部から下垂体前葉に移動し、性腺刺激ホルモン産生ニューロン(ゴナドトロプ細胞)に結合すると卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが血中に分泌され、全身を巡ったあと精巣や卵巣に作用して性ホルモンや配偶子(精子、卵子)の生成を開始します。

 ※内側視索前野のエストロゲンはGABAA受容体を活性化させることでもGnRHを分泌することができます。

 

 一般に言われている思春期早発症の第一原因はメラトニンです。メラトニンは二十五時間周期で時を刻んでいる生体時計を二十四時間の地球時間に同調させる働きをしているホルモンで十九時ごろ視床下部の視交叉上核からの分泌が始まり深夜四時にピークを迎え、午前九時頃ほとんど分泌がなくなるという日内変動を持っています。睡眠、覚醒、注意力、血圧、体温、ホルモン分泌、免疫機能(抗酸化作用)、消化機能などはこの二十四時間リズムによって制御されており、コルチゾールやドーパミンや副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や成長ホルモンやプロラクチンの分泌も通常このリズムに支配されています。特にゼロ歳から七歳の間に大量のメラトニンが生成分泌され、思春期前の第二次性徴の発現を抑制していると言われています。しかし夕方以降に一定以上の強い光を浴びるとメラトニンの分泌が起こらず、そのピーク時間がずれたり分泌量自体が減少したりし、さらに睡眠不足が重なるとその影響を受けてインスリン抵抗性が起こったりコルチゾールや甲状腺ホルモンの血中濃度が夕方になっても下がらないという状態になり、交感神経優位による高血圧や糖尿病の原因となります。またメラトニンの抑制がエストロゲンの分泌を促進し、夜間の性成熟を促進してしまいます。エストロゲンはまた脂肪を蓄積する働きもありますから肥満の促進にも一役買うことになります。

 またメラトニンは夜間の喘息発作を悪化させることが指摘されており、思春期早発症と喘息は併発することがあります。これは気管平滑筋のメラトニンMT2受容体にメラトニンが結合することでおりますが、私の推測では気道の炎症によるストレスや副交感神経による気道収縮による息苦しさや夜間低血糖などが交感神経を働かせ、アドレナリンを分泌した時にこれを抑制するためにメラトニンが働くのだと思います。喘息患者においてアドレナリンは気管支の筋肉を弛緩して気道を広げる働きをしてくれるのですが、夜間にアドレナリンが活動すると概日リズムが乱れてしまうためメラトニンはこれを抑えにかかり、その結果気道の収縮がより強くなって咳が起こるのだと思います。ちなみにエストロゲンも気道に炎症があると過敏になって平滑筋を収縮させます。

 第二の原因は肥満で、高タンパク・高脂肪食の長期摂取(マウスの実験では二十二週で影響が出始める)によって脂肪組織が増えると食欲を抑えるレプチンの分泌が増加しますが、レプチンも脳に働きかけて卵巣の脂肪細胞からのエストロゲンの分泌を増加させます。これは背外側前頭前野に働きかけてセロトニンの分泌を促すことで摂食行動の抑制と肥満によって起こった慢性炎症による扁桃体の興奮を鎮める効果を得るためです。

そして卵巣内でエストロゲン濃度が規定値まで増加して視床下部に対するポジティブフィードバックが働くとレプチンは視床下部の弓状核という部位に投射して性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌を要求し、これにキスペプチンとキスペプチンの分泌と体温上昇を促すニューロキンBという思春期の開始を司る二つのホルモンが応じてGnRHの分泌およびその受容体の活性が高まると初潮プロセスが開始されると考えられています。―――ちなみにニューロキンBの初起動は女子で十歳、男子で十二歳から。

 その際にレプチンがa-メラノサイト刺激ホルモン(a-MSH)の前駆物質(プロオピオメラノコルチン/POMCとコカイン・アンフェタミン調節転写産物/CARTニューロン)を産生するのも妊娠に備えて脂肪蓄積と体重増加をもたらすためかもしれません。a-MSHはHPA軸(視床下部-下垂体-副腎皮質ライン)を活性化させてコルチゾールとノルアドレナリンとアドレナリンの分泌させることで交感神経の活性化と血圧、血糖値の上昇による食欲調節機能の整理を行い、レプチン抵抗性が起きると筋肉への糖の取り込みが低下して消費されるべきエネルギーが脂肪の蓄積に回されてしまうからです。この時もしかすると私たちの意識も摂食行動に集中して運動を避けるよう仕向けられているかもしれません。第一にこの誘導はコルチゾールの働きとされていますが、腹側被蓋野のドーパミン神経は食べ物を見るとそれが画像でも活性化し、甘味と脂肪への嗜好性を高めさせます。そしてここのレプチン受容体にレプチンが結合することで通常は満足感を得られるのですが、過剰に結合するかあるいは強いインパクトのある食べ物と出会ってしまうと食事の満足感を低下させて食物への執着を強めてしまい、扁桃体で「食べたい」と「我慢」のせめぎ合いを起こします。これが抑制されず長引くと扁桃体が肥大して安静時の基礎活動レベルが高まってしまうと共にセロトニンによる感情抑制を司る前頭前野との機能的結合を弱めてしまい(ドーパミンはセロトニンを抑制する)、その副作用として恐怖感情(不安や共感も?)に対する感度が下がってしまいます。

 ※ちなみにドーパミン神経の活動は体温を下げる働きとプレパルス抑制を低下させる副作用があるので運動意欲の低下と外界からの刺激への過敏性や疲労感、不安感の増加をもたらしやすい。プレパルス抑制とは大きな刺激(音、冷たさ、熱さ、電気ショック)を受ける前に小さな刺激を受けておくと驚愕反応を抑制しやすいという体の機能のことでその低下は統合失調症の発症原因の一つとされており、また思春期における砂糖の過剰摂取もプレパルス抑制を低下させるとされています。これは経験による刺激への慣れや必要のない感覚刺激を無視する能力を見るために用いられる検査で発達障害者は感覚刺激に対する慣れが生じにくく、いつまでも新鮮に不快や恐怖や違和感を感じ続け、要するに順応ができないので一つの行動や思考や苦手意識に固執し続けてしまうと解釈されています。ドーパミン及び報酬系に基づく依存行動もその類でしょう。脳は体温上昇はドーパミンを抑制するセロトニンによってもたらされるという知識がある故にセロトニンを分泌するためにドーパミンを分泌する行動をやり続け、しかしセロトニンが不足してきたり体温上昇効果に不満を感じるようになるとコルチゾールやノルアドレナリンによる追加の体温上昇を期待して攻撃や怒りやストレスを伴う行動に傾倒しがちになります。そしてコルチゾールはセロトニンの生成を阻害するという体のホメオスタシス(恒常性維持)機能の網に引っ掛かってしまうのですが、行動の切り替えができず、不安の制御もできないために惰性的に攻撃・怒り・ストレス行動を続け、そのうちドーパミンも脱感作に遭って待望のセロトニン支配を受ける頃には無気力になって何物にも興味を持てなくなってしまうのです。さらに体温が上がることをストレスと学習してしまうと幸せになれません。(食後に喫煙したくなる人など)彼はドーパミンが活発なうちにその本来の指令に従って体を動かすべきだったのです。音楽で言えば聴くばかりでなく歌ったり自ら演奏したり振り付けを踊ったりする方向に進まなければ無気力に転落してしまうのと同じです。若者たちが自分の歌や振り付けのコピーをよくSNSに投稿するのも元気と明るさの源でモテ要素でもある小脳の活性化を自然に喚起した結果であって大人たちが仕掛けた罠に良くあらがっていると思います。ただ発信者側の提示する歌詞が暗すぎ、視野が狭すぎるので諸々探索行動が活発になるともっと良いと思います。※

 これは推測ですが、妊娠を望まない肥満者はレプチン濃度を下げるために夜更かしをし、眠らないことでコルチゾールと空腹ホルモンのグレリンの分泌を促します。グレリンは副交感神経を優位にしてノンレム睡眠中に分泌される成長ホルモンの分泌を促し、コルチゾールを体脂肪の分解に振り向ける働きがあるからです。しかしこのような知識のない肥満者は空腹に任せて夜食を食べ、かつ眠らないのでより肥満と炎症を進行させてしまいます。そして高脂肪食や高糖質食による腸の炎症は腸内への血液および酸素の供給を増加させて乳酸菌などの善玉菌にとって不利な生育環境を作り出し、悪玉菌の増殖を助けます。また炎症によって腸粘膜バリアが損なわれると血中の酸素が腸管内に侵入するだけでなく未消化の食べ物や毒素や花粉や細菌が腸管から飛び出してアレルギー物質のブラックリストに載るリスクが高まります。それは膣内の細菌バランスにも影響を与えて、例えば常在菌のガードネレラ菌の増殖による細菌性膣炎が発症したりします。月経をデトックスと考えるならば、脳は細菌性膣炎に対処するための選択肢として常在菌一位の善玉菌ラクトバチルスの増殖を促して免疫機能向上を図ると共に初経の開始を決断するかもしれません。

さらにコルチゾールの慢性的な過剰分泌は肥満の原型と考えられる中心性肥満(クッシング症候群、下垂体の調節不能による)や同じく視床下部の機能異常による視床下部性肥満、海馬の神経細胞の減少による脳萎縮、食事中のアレルギー反応を司るマスト細胞の抑制などを起こします。さらにコルチゾールの増援を要求して分泌が繰り返される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は男性ホルモン/女性ホルモンを同じく過剰分泌状態にするだけでなく、コレステロールをプロゲステロンに変換するプロセスからも糖質コルチコイドの生成を促し、その副作用として攻撃性を高めます。あるいは下垂体から分泌されるホルモン全般を狂わせて例えば甲状腺機能亢進症による動悸、熱産生増加による多汗、イライラ、手の震え、体重減少などを併発するかもしれません。

さらにコルチゾールや性ホルモンは胸腺の収縮を速めます。胸腺は胸骨の裏側(みぞおちの上?)にある免疫システムの司令部とされている臓器です。骨髄で作られた未熟なTリンパ球を成熟させて送り出したり抗体を作り出すBリンパ球に指令を出す働きがあり、幼児期に十から十五グラムの体積で最も活発に機能し、思春期には三十から四十グラムに成長してピークを迎え、その後縮小が始まります。それは通常七十歳まで続く緩やかな縮小で脂肪組織に置き換わっていくのですが、環境変化を含むストレスは縮小を進行させ、特にコルチゾールはT細胞やマクロファージや好中球など免疫細胞を抑制する使命をもって未熟な胸腺細胞に働きかけて細胞死を誘導することで一時的な胸腺萎縮を引き起こします。(これに対し成長ホルモンやプロラクチンはT細胞の活性を強化する働きをします。もしかすると免疫機能をめぐるコルチゾールとの対立は高プロラクチン血症の原因の一つであるかもしれません) 特に委縮する段階でない子どもが虐待のような強いストレスを慢性的に受けると急速に縮小が進んで自己免疫疾患のリスクを高めます。(一例として二〇一八年に虐待で亡くなった女児の胸腺は通常の五分の一に縮小していたそうです)

 第三の原因はエストロゲンへの過剰被曝です。貧しい国では子どもが労働者または配偶者として重宝されているために性的な成熟が早いといいますが、栄養状態が悪く平均寿命も短いと脳は生存可能なうちに子孫を残そうとして性成熟を早めて繁殖の機会を確保しようとするようです。あるいは教育の機会を奪われて児童婚を求められているという社会的風潮や父親が娘を女として見ること、母親も娘をライバル視して接触機会を減らすなどの両親の行動も子どもたちを性的早熟にする原因の一つと考えられます。

 そしてより重要な原因は彼らが少年労働者として駆り出されることによって農薬やプラスチックに含まれる環境ホルモンあるいはごみ山から立ち上る煙に含まれるダイオキシンその他の発がん物質に長期的に被ばくすることです。例えば硬質プラスチックに含まれるビスフェニールAは内分泌かく乱物質ともいわれエストロゲンの受容体に結合することができる構造を持っている故に思春期早発症やエストロゲンの過剰に伴う様々な疾患のリスクを高めます。例えば男性がエストロゲン分泌のサインを受け取ると性ホルモンのバランスを取るためにテストステロンの生成を抑制する負のフィードバックが働いてしまいますので男児の思春期の開始が遅れ、性器が短小のまま、抑うつ、意欲の低下、集中力の低下、疲労感、しかし発汗機能(体温調節機能)の発達は早まる? 成人男性では不妊やED(勃起不全症)、筋肉量の低下(エストロゲンは筋トレの効果を高めると言われているのに)、体脂肪の増加、メタボリックシンドロームや生活習慣病のリスク増加、薄毛、骨粗しょう症、発汗過多、性欲減退、射精感の減退、視空間認知機能の低下、気分の落ち込み、疲労感、倦怠感、イライラ、睡眠障害などの原因となります。成人女性では乳がんのリスク増加、エストロゲンが歯周病菌の餌となるので歯周病リスク増加、子宮内膜増殖症、子宮体癌、子宮筋腫、生理が重くなる、無排卵、アルコールの分解を遅らせるので酒に弱くなる一方でアルコール依存症や肝機能障害になりやすい、片頭痛、疲労感、眠気、不安感、過剰なエストロゲンを代謝してくれるビタミンB6が不足するかも、乳房の張りなどが出ます。

 ※他のエストロゲンに影響を与える要素

大豆イソフラボン、ベリー類(フィトエストロゲンという成分がエストロゲンの働きをサポートする)、ルイボスティー、インスリン抵抗性、グルテンによるアレルギー反応や炎症、牛肉や鶏肉(とくにアメリカ産牛肉には肥育ホルモン剤やエストロゲンを含む飼料により高濃度のエストロゲンが含まれる)、亜麻仁油とごま油とアボカド(エストロゲン様作用を持つ成分を含む)、プラスチック製品、飲料容器、ダイオキシン、BPAやフタル酸エステル(化粧品やヘアカラーに含まれる)、ノニルフェノール(洗剤に)、ノニルフェノールエトキシレート(乳化剤/界面活性剤の一種として食品、化粧品、農薬、洗剤に含まれる)、水道水(水中の有機物と塩素が反応してエストロゲン様作用を持つ物質が生成される)、残留農薬、大気中の多環芳香族炭化水素類(PAHS、粒子が小さいほど多く含まれ、肺胞まで侵入する)など。その対策はやはり運動と原因物質の回避、そして野菜を水と重曹で洗うことだそうです。

 肥満児の扁桃体は肥大しますが、貧しい子どもの扁桃体は縮小します。すると生存のための摂食行動が促進されるだけでなく(犯罪性)、大脳基底核を中心とする習慣システムへの依存も高まるでしょうし、恐怖体験が記憶されやすくなることでさらなるストレスやトラウマや不安障害が重なり、もっと行動の範囲や選択肢が限定されてしまうことになります。これも彼らが貧困から抜け出しにくい原因の一つです。

 補足情報としてa-メラノサイト刺激ホルモンは食欲抑制と探索行動を司る視床下部の室傍核(VPN)のオキシトシン作動性ニューロン(マグノセルラーオキシトシンニューロン)を刺激して恐らく勃起を伴わない交感神経優位の性的興奮を引き起こし、フェチシズム(女性の下着などに性的興奮を覚える性癖)や移行対象物や新たな性感帯の形成を促す働きがあると思います。オキシトシンが特にオスに他の異性への興味を失くさせ、あるいはシングルの人に他人との交流や探索行動を避けさせ、孤立してしまうと免疫反応が低下し、不安やうつの症状が見られるが、人がいると社会的な順位(ヒエラルキー)の維持を目的とした攻撃行動を取ってしまうというのは正に安全な基地を失った子どもの反応のように思われるからです。

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