まとめてつぶやき1102 喘息&アトピー性皮膚炎の解読から人体の本質を知る3-2

認知症についての捕捉的仮説

貧困者や高齢者の認知能力や学習能力が低下する理由を食事から考えると咀嚼回数が少ないことがその一因かもしれません。出された食事の量が少なく、特に美味しいと感じる物でない場合、私たちは機械的に食事を摂り、かつ早食いになりがちです。また仕事や楽しいことを早く再開したい、あるいはしなければならないと考えている時にも早食いになります。しかし量が多ければ自然に落ち着いて目の前の食事に向き合うようになり「一口三十回噛む」という目標も遂行しやすくなります。そしてそれを平らげた後には脳が活性化しているのを実感できます。これが学習能力ややる気の向上に関連しているとすれば豊かな子どもと食事量が少ない子どもとで能力や幸福度に差が出るのも当然でしょう。ただし先進国の大人の身体と精神の健康は貧富の差では決まらなくなっていきます。多くの人は健康リスクのある食品や料理を食べ、肥満の人はうつ病や不安障害を抱えるリスクが高いと言われているからです。実際、私たちは情報過多の社会で常に時間に追われて暮らしていますが、忙しさに追われている時、脳では恐怖や不安を司る扁桃体が活発に働いており、緊急事態に対処するために内省的な思考(過去を振り返り、未来を計画する)を司るデフォルトモードネットワーク(DMN)と恐怖を抑制する働きを持つ背外側前頭前野が抑制されてしまいます。併せて背外側前頭前野とともに実行機能を司る腹内側前頭前野も機能低下し、目標設定から優先順位の決定、望ましくない思考の抑制、創造力の発揮(アファンタジア:頭の中で自発的にイメージを構築できない)、二つ以上のタスクを同時進行することなどができなくなっています。私たちの忙しさが同じ作業の繰り返しになりがちなのもきっとそのせいで、特定の神経細胞ばかり使うことになり、そこの酸化ストレスが高まって疲労のサインとしての飽きを受け取ることになります。するとドーパミンの分泌が減少して集中力や理解力、判断力そして背外側前頭前野が司るワーキングメモリー機能などが低下して記憶力も悪くなります。その上扁桃体の過剰反応(扁桃体ハイジャック:ノルアドレナリンの過剰分泌によるパニック)とコルチゾールの過剰分泌により重要なことや逃避や猶予を許されていることを先送りするクセがついてしまいます。(背外側前頭前野が司る罪悪感も間もなく抑制されるのでしょう)

そんな状態ならすぐにでもその作業を離れて休息をとった方がいいに決まっていますが、私たちは報酬のため、社会から見捨てられないため、非難されないためにのため、あるいは代わりの仕事や目標ややり方を用意できないために「やめたい」と戦いながら集中や注意を強制しなくてはならず脳疲労を加速させます。そうして退屈な仕事をイヤイヤ続けて精神的な刺激のない状態を続けると反動で止まらない愚痴や不満、暴飲暴食、うつ病や不安障害が出て来るというのが脳の仕組みなのです。

退屈は脳の灰白質の体積を減少させます。灰白質とは神経細胞が密集して灰白色に見えるもので「脳の萎縮」は主に灰白質および白質(灰白質同士や他の神経組織とをつなぐ連絡路として働く神経線維。髄鞘という絶縁体でおおわれている)の減少を指します。原因は加齢(特に物を考えない生活)、貧困(慢性ストレス、学習機会の不足)、社会への不参加(環境からの刺激不足)、喫煙、不規則な生活など脳を積極的な使わない生活や血流を悪くする生活態度で、拒食症(神経性やせ症)の人は小脳、中・後帯状回(中部は空間認識、食べ物認識。後部はデフォルトモードネットワークを司り、自己認識や身体イメージと関連)、補足運動脂質(自発的な運動の開始を司る。障害されるとお手本を真似ることはできても自発的にそれを開始することができなくなる)、一次運動野の内側部(食べ物を口へ運ぶ、咀嚼する、飲み込むなどの運動を島皮質や前部帯状回と連携して実行する)、視床(食物探索行動と味、匂いなどの感覚情報を大脳や扁桃体に中継する)の体積減少が見られ、さらに腹内側前頭前野(食べ物とそうでないものを区別する、短期的な快楽より長期的な健康維持を意識して食欲を制御する。灰白質が減少すると衝動的なドカ食いや高カロリー食に走ってしまう)、眼窩前頭皮質(食べ物を感覚情報から評価してその価値を定め、食べるか否かを決定する、摂食障害の患者はここに異常が見られ、食べ物を恐怖や嫌悪の対象として見たり、醜形恐怖と相まって数値的なデータで見るようになる、体重制限や食欲抑制によって人生や感情を制御できていると思い、太ると自己嫌悪に陥る)、後部島皮質(周囲の部位から感覚情報を集めておいしい/不味い、満腹/空腹、安全/危険などの評価と共に認め印を返す)の体積は拒食症の重症度と相関があります。ちなみに運動野以外の部位は社会問題や政治問題について考える時に使うとされている領域で、社会問題について考えない人は自分の健康問題や恋愛問題や親子問題、職場での人間関係についても考えることができないことを示唆しています。

例えば戦闘機のパイロットは一日中シートに縛り付けられて襁褓(むつき)にくるまれた赤ん坊か寝たきり老人のような姿勢でモニターを見ながら上官から示された敵を無分別に爆撃しますが、こんな人が戦争で生き残って良い社会を作れるなんて誰一人考えないでしょう、しかし人々は当たり前のように彼らの支配を受け入れます。それがどれだけ危険なことでどれだけ人類に損害を与えてきたかを今反省すべきです。ゲームに熱中する子どもの前部帯状回(ACC)が過活動になって他人を思い遣れなくなったり無気力になったりすることが問題視されていますが、ここの灰白質の体積が減少すると感覚的な慢性的な痛みが発生し、おそらく心身症の原因になると考えられますが、その痛みがますます前部帯状回の過活動を悪化させ、一つの考えに捕らわれて切り替えができなくなり、怒りや恨みを抱えやすくなり、自発的な行動をしなくなり、やらない言い訳や反抗心ばかりたくましくし、しかし肝心な自分の思いや決意の言葉などを発せられなくなり、寝たきり老人兵の後ろ盾に頼って人間に対する狩猟行動を仕事と言い張るような若者になったら人類に未来はないでしょう。前部帯状回は世話好きの人で活発に働く部位なので正しい使い方を続けるためには目の前の問題にしっかり向き合う習慣と風潮を作り上げるべきです。

アルツハイマー型認知症の人は食事をしたことを忘れてしまうといいますが、一方で認知症は過食を誘発し、糖尿病を合併しやすいとも言います。これは脳が灰白質の体積を回復するための栄養を求めていると解釈するとつじつまが合うと思います。実際灰白質は自身の回復のために自ら摂食行動を促進するそうですし、肥満者でも灰白質の減少が見られます。灰白質の回復に必要なのは脳由来神経栄養因子(BDNF、神経新生の促進、学習、記憶、情動の処理においてシナプスの接続強化を促す、摂食と糖代謝にも関与する)とエストロゲン(神経保護作用、脳血流改善、シナプスの密度と可塑性を高める)及びテストステロン(神経細胞の生存をサポートし、認知機能にも関与する)とインスリン様成長因子1(IGF-1、BDNFと協力して神経新生を促進し、神経の保護も行う)で、BDNFを増やす方法は習慣的な中・強強度の有酸素運動、食べ物(青魚のDHA・EPA、緑黄色野菜や納豆に含まれる葉酸、高カカオチョコレートのカカオポリフェノール、柑橘類の特に皮に含まれるフラボノイド、緑茶・抹茶・玉露のテアニン、カマンベールチーズ、発芽玄米)、十分な睡眠、そしてシナプスの刈り込みを担うので学習や知的活動を行う必要があります。BDNFのレベルが低い、または機能が妨げられると脳は十分に栄養を摂取したと認識できず満腹中枢に指令を出さないので食事への欲求が止まらなくなります。また六十五歳以上の高齢者はBDNFの血中濃度が顕著に低下するというデータもあります。さらに高齢者は歯が悪いからと言って柔らかい物ばかり食べ、肥満者も「カレーは飲み物だ」と言って物をよく噛まないことも食事による満足感(食後感)を感じられない要因の一つではないかと思います。

LOTTEの『嚙むこと研究室』というサイトに掲載されている石上恵一さん(東京歯科大学特任教授)のコラム『咀嚼とストレス解消のメカニズム』によれば「騒音の中でストレスのかかった状態でもガムを噛むと扁桃体の活動が低下して不快という信号が前頭前野に送られにくくなり、血中コルチゾール量が下がります。またよく噛むと海馬が活性化して右側前頭前野の血流量が増えて集中力が高まります。逆に噛む習慣がないまたは少ないと脳の神経細胞の活動が減ってアミロイドβその他の老廃物の排出効率が悪くなってしまいます」。

さらに私見を加えると「咀嚼運動は集中力を伴わない脳の活性法」だということです。この概念を引き出すことで運動や睡眠、入浴、談笑、瞑想、座禅も同様の行動であることに気づくことができます。したがって柔らかい物ばかり食べることや歯を失うこと、睡眠不足や運動不足の背景には、何も考えないで何かに没頭する時間、フロー状態とも言いますが非集中の集中時間を持たないことが脳に悪いという真実があるわけです。第一の二巻で食事中はヒスタミンが他の神経伝達物質の活動を抑制すると書いたのもこの非集中の集中時間を作り出すための機序だったのです。私たちの脳はきっと何も考えていない時間を使って思考や感情や記憶を整理し、整理が済むと次の思考(=創造、アイデア、解決策)が生まれるという性質を持っているのです。だから怒りや憎しみや恐怖、不安、罪悪感、トラウマ、執着心や依存心、ネガティヴ思考、そしてせっかちやしつこい性格は脳に悪いのです。同様に糖尿病や高脂肪食・高糖質食による慢性炎症やドーパミンの過活動による多動(子どもの多動性障害及びアルツハイマー型の徘徊を含む)その他も考え続けているのと同じ状態ですから病気になるわけです。

さらに新しい仕組みを加えると扁桃体と同じように恐怖や不安といったネガティヴ感情の発生およびストレス応答を処理する組織として分界条床核(BNST)というのがあり、不安状態が長期化したときに働きます。しかも性差があって前方の吻側部は発生時に女性ホルモンの影響を受けてメスの方が大きくなります。予測困難な脅威や持続的な不安事象に対して積極的に対処せず、すくみ反応をしたり、大人しく受け入れる反応を示します。それゆえに女性の方がうつ病や不安障害を発症しやすいと言われています。一方尾側の背側部は発生時に男性ホルモンの影響を受けて男性の方が大きくなります。中脳のドーパミンニューロンへの主要な入力元であることから長期的な不安事象に対して(立ちすくむなどの受動的な反応を抑制して)これを克服するための意志や行動を促進し、目標があればそれを達成するための行動を継続します。また薬物依存からの離脱行動も促します。(意志の力で薬物を絶つことはできないというのは嘘である)

そして分界条床核の摂食行動への関わりはストレス反応(退屈、痛い、不快、抑うつ、眠い)としてHPA軸(視床下部-下垂体-副腎皮質軸)で分泌された副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)がここのCRHニューロンにも結合されると不安症状が起こり、その後分泌されるコルチゾールとの相互作用によって高糖質・高脂肪食への嗜好性の増加および過食が引き起こされます。さらに同卵円核では内因性カンナビノイドと結びついてやはり無茶食い、やけ食いが引き起こされます。この際、味覚嫌悪学習としてはGABA作動性ニューロンはストレス下で食べ物の好き嫌いを学習しやすくしますが、卵円核においては空腹時に食欲を増進しますから好きな物だけを爆食いするという行動が生じます。もしかすると肥満者がうつ病や不安障害のリスクを抱えているのは分界条床核を食欲の調節に組み込んでいるからかもしれません。するとGABAが働いている時には不安を抑制したり嫌なことを我慢することができますが、GABAが抑制されると我慢できなくなるようになりそうです。

ちなみに食べ過ぎを抑制するホルモンは視床下部の室傍核と視索上核から分泌されるオキシトシンと食事に感謝しているときに活性化する腹内側前頭前野です。ドーパミンを投射する脳の報酬系も感謝の感情に反応してドーパミンだけでなく、セロトニン、オキシトシン、β-エンドルフィンという四つの幸福ホルモンを分泌します。腹内側前頭前野は相手を人間と認識した時にも強く活性化し、機能低下すると相手を道具や目的のための手段と見なすようになります。また恐怖や怒りや衝動や攻撃行動を抑えられなくなり、他者への共感や思いやりも低下、社会的に不適切な行動を取りやすくなります。さらに物質関連障害(アルコールやタバコ、ドラッグ、睡眠薬、抗不安薬への依存)においては食事から得られる快感より薬物から得られる快感を優先して食事を二の次にしたり、味覚の低下により義務的に食べる傾向が高まります。またニコチンには食欲を抑制する効果がありますので脳に促されて発作的に吸ってしまう人は灰白質の回復のために求められている栄養の摂取を拒否していることを自覚すべきです。実際禁煙すると食べる量が増えるのは味覚が回復したからではなく灰白質の回復が脳から求められていることの方が大きいのです。もう一つ「分かっちゃいるけどやめられない」という悪態も腹内側前頭前野の機能低下から発せられる言葉で中毒者や肥満者や犯罪者の常套句となっていますが、非集中の集中時間を設けることを強く勧めます。

・・・ここから先は余計な一言になるのでしょうが、袋小路に入りでしまった人や不安に捕らわれやすい人、常に急いでいる人などは報酬ベースでものを考えがちで、単発の快楽を獲得し続けなければやっていけない自転車操業に陥ってしまうと「自分は何か人の役に立たなければ愛されない、生きるを許されない」というネガティヴな思いや基本的信頼感の欠落から目の前の問題に立ち向かうことも日々に感謝して生きることもせず「分かっちゃいるけどやめられない」に逃げ込みやすくなります。女性は特に人に好かれるために馬鹿を演じたり手を抜いたり、相手の暴走や妄想にさえ共感しようと努めて自分の幸せを犠牲にしてしまうという損な性分を持っていますが、それは周り回って自分の子どもの幸せの容量まで小さくしてしまうことになり兼ねないことをそろそろ考えるべきです。この世のことは単発では起こらず、連続の中で私たちがそれぞれに認識した部分を見ているに過ぎないのですから幸せも健康も総括で捉えるべきです。

戦争においても会議室で机上の敵を定めてそれを討ったところで世の中は決して良くなりません。それより現場の兵士たちが肌で敵を感じて倒すべきかどうかの判断を下し、彼らもただ上官からそのように言い含められて出てきただけの同じく平和を求める人間なんだということを確かめられたならば、両者の間に真の同盟を結び、二つの視点から本当の敵を見定めるべきです。その目こそが自浄作用であり進歩なのです。兵士たちの健康を損ない、目にブラインドをかけるリーダーの机上の論理に惑わされてはいけません。私たち一人一人が心身ともに健康で正常な脳機能で世界を評価してこそ平和な世界を維持することができるのです。

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