『バターが買えない不都合な真実』(山下一仁、幻冬舎新書、2016年3月初版)
私もまだ読み終えていませんが、どうせ世間の人々も読まないだろうと思うので抜粋して紹介しておきます。(それが筆者の本意と信じて)
「日本の国内市場が人口減少で縮小する中、農業も工業もTPP交渉で相手国の関税を引き下げて海外市場に活路を求める必要があった。それにもかかわらず日本が農産品で関税維持(米280%,バター29.8%+985円/kg)を主張したために日本車にかけられている2.5%のアメリカの自動車関税を撤廃することすらTPP(環太平洋経済連携協定)が発効してから25年後(2042年)という気が遠くなる程先のこととなってしまった」、→これは前期トランプ政権がTPPから離脱したことで無効となり、さらに今年25%の追加関税が課されることとなった。
「日本は家畜のエサとしてアメリカから一千万トンのとうもろこしを毎年輸入している。大量のエサ米を生産するとアメリカからのとうもろこし輸入は大きく減少する。また米粉が増産されればアメリカからの小麦輸入が減少する。つまりアメリカの輸出利益が大きく損なわれる。これに関してWTO(世界貿易機関)は救済措置を設けておりアメリカは日本の減反補助金を提訴すれば必ず勝てるし、クロス・リタリエイションによって日本から輸入される自動車に報復関税をかけることができる」。
「高い価格や関税による輸入制限で農業を保護するというやり方は貧しい消費者に多くの負担をかける。アメリカやEUのように財政が直接支払いで保護する方法に転換すれば国内価格を低くすることができ、高い関税も要らない。通商交渉で農業が障害になることは無い」。しかし与野党の政治家全般も農林水産省も酪農や牛乳・乳製品についての政策の目的を酪農家の所得向上すなわち乳価の引き上げに絞り、その逆をタブー視しているために合理的な価格で安定的に供給しようという発想は皆無である。その結果酪農家の年間所得は974万円(2014年度)に上り、機械化によって今や30日間働くだけで収穫することが可能な米農家の年収も412万円と平均的なサラリーマンよりも多い。にも関わらず農林水産省、マスコミ、御用大学教授たちは口裏を合わせて農家の所得が低いから離農が進みバター不足や米不足が起こるのだと主張しているのである。―――しかし著者は農家の数と生乳の生産量には関連がなく、むしろ生産量は何倍にも増えていることを指摘している。ここからは私の推測だが、今回の米騒動は米農家が裏で政府に保護の強化を要求してそれが通らなかったからコメの流通を止めたのではないか?またその動きを見てトランプ政権が報復関税に乗り出したのではないか?そして市場の混乱を説明するためにマスコミは離農問題を語って国民を欺き、彼らを弁護したのである。それに慣れて腐敗した「日本の農業界は業績が不振になると自らの経営をチェックするのではなく政府が十分な対策を取らなかったためであり保護をより多くするべきだと主張」し、暇を見つけては政府要人にアポイントを取って要求をエスカレートさせ続けているのである」。
「世界最大の乳製品輸出国であるニュージーランドは放牧を中心とした低投入型の飼養管理を行っているため一頭当たりの乳量は3947kgにすぎない。(これが普通)対して日本は牛を身動きひとつさせず効率的に乳を搾り尽くすので倍の7568kgもあり世界トップクラスである。しかし全体として生産量が少ないのは飼料が並外れて高いからで日本では輸入したとうもろこしの価格が小売価格になると2倍に、配合飼料価格になると3倍に跳ね上がる。さらに世界では普通高いから使わない米を飼料に使っている。これらの儲けの仕組みのせいで日本の酪農家は海外市場で競争することができず、国内市場で消費者に大きな負担をかけて生き残るしかない」。
「世界では価格の高い米をエサに使うことはまれである。しかも米はエサに向かない。卵の場合、卵黄が白っぽくなってしまう。豚では背中の脂肪が付き過ぎてしまう。そして牛の場合には反芻によって胃のルーメンの酸性度が高くなりルーメン・アシドーシス病が発症してしまう。これは食欲不振、ふらつきを起こし重症になると死に至る。しかし我が国では減反政策として多額の補助金を出して米を飼料用に生産することを奨励している」。
彼らの癒着体質は2008年の汚染米事件にも見られた。政府はガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、不本意ながら外国米を輸入した時、そのコメが国内需給に影響を及ぼさないよう同量の国産米を買い入れて隔離し、そしてカビさせた。政府はその汚染米8368トンを糊用と称して売却し、これを安く買い入れた業者は主食用などに高く転売して利益を得たが、そのことによって不正流通事件が発覚した。工業用の糊として売却すると1トン当たり一万円程度だが焼酎やあられ、せんべいなどの加工用として売却すると15万円になり、食用なら25万円で売れるからである。「この問題の本質は減反政策により意図的に主食用の米価を高く維持しているためにミニマム・アクセス(低い関税で輸入される数量枠)の影響を受けやすくなっていることと同じ品質のコメに用途別に異なる価格を付けるという一物多価にある。主食用より安い価格は普通の経済であれば成立しないはずである。政府は減反政策を進め、維持するために加工用(60kg当たり9000円)、米粉用(同3000円)、飼料用(同1500円)を設定し、これを減反のための転作とみなして主食用(同1万5000円)との差額を減反補助金として農家に支給しているのである。しかも主食用の価格も本来同8000円であるのを15000円に引き上げている。つまりで補助金を使って米価を上げた上で別の補助金を使って米価を引き下げるというとんでもない政策を実行しているのである。他の国ではこのようなことは起きない。食用とエサ用のコメが同じ品質というのも有り得ない。石油でも価格は一つである。したがって不正をなくすには市場の歪みを生じている政策を是正すべきなのである」。
そもそも「日本は単位面積当たりアメリカの19倍の農薬を使っているので国産の農産物の方が安全とは言えないのだが選挙で影響力のある農政保護に尽力するマスコミや知識人たちは国産農業は安全で環境に良い、貿易が自由化されると安全でないものを食べさせられると主張している」。→真実は保護貿易で守られている現状で安全でないものを選んで輸入しているのが今の日本。家畜のエサをアメリカ産の遺伝子組み換えトウモロコシに統一していることもそうだし、多くの食品に添加されている果糖ぶどう糖液糖もトウモロコシから作られている。さらに私が健康のことを考えて贔屓にした商品を大抵のスーパーやドラッグストアは値上げするか棚から除いてしまう。彼らは明らかに国民の健康を害そうとしている。
「米農業を衰退させたのはJA農協。彼らは戦後の食糧難の時代、政府が国民に配給する米を集荷するため、戦前の統制団体を農林省が衣替えして作った組織でかつて米と肥料販売に力点を置いていた。食糧管理制度(政府が農産物を直接買い入れて消費者に販売するやり方)の下で政府はわずかな量の商人系を除いて全国農業協同組合連合会(全農、JAの全国団体)を通じてしか米を買わなかった。彼らは我が国の他のいかなる法人にも認められていない銀行事業を兼業している他、保険もガソリンスタンドも農業資材の販売(肥料、農薬、農業機械、飼料)も冠婚葬祭業も担っており総合農協といわれる。そしてJAバンクには組合員の零細な兼業農家が農業の数倍になる兼業収入や農地の宅地転用などで得た年間数兆円に上る利益が預け入れられているために我が国第2位を争うメガバンクとなっており、その資金力と組織力によって日本最大の圧力団体へと成長した。補助金の直接支払い制に舵を切れないのも彼らの存在があるからである」。→明らかにケルト人(フリーメイソン)の息がかかった組織。第二次大戦の結末がヤラセであったことを裏付ける存在。
「民主党には農林族が少なく酪農や牛乳・乳製品政策に詳しい議員も少ない。酪農団体と深い関係にあるのは自民党農林族で酪政会という議員集団がある。一方酪農団体も日本酪農政治連盟という組織を持っており、その会合は自民党本部で開かれることがある。この団体が酪政会に補助金の実現を陳情し、選挙で酪政会所属の議員を応援する」。
「牛乳やバターが不足した時に輸入を一元的、独占的に行うのは農林水産省から指示を受けたaliac(農畜産業振興機構)という国の機関で農林族は乳製品の輸入に口出ししない。したがって輸入しすぎて乳製品を余らせ、乳業メーカーとの乳価交渉で酪農団体を不利にすると責任を問われるのは農林水産省である。そのため同省では余らせるよりは少し足りないくらいが一番良いと考えている」。
「ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉で米のミニマム・アクセスを受け入れるに当たり細川内閣は国内の受給に影響を与えないよう同量の国産米をエサ米や援助用で処分するだけで他に対策は要らないことを閣議で確認したが、当時野党だった自民党は政権復帰すると6兆100億円の対策費を投じてバラマキだとの批判を受けた。が、安倍政権も影響が無いのにTPP対策を打って農地の流動化対策(農地バンク)の大幅な拡充と規模の拡大を図った。農政新時代というキャッチフレーズを付けて輸出のために競争力をつける、飼料、肥料機械などの生産資材の価格を見直す、高度な担い手を育成するというスローガンを掲げたが、農地が出てこないのは政府が減反で米価を高く維持しているために零細のコストの高い農家も米作りをやめないからで生産資材がアメリカの2倍もするのは農協がその販売を独占しているから、また担い手の育成または農業人口の拡大はマスコミもよく語ることだがそもそも農地法が新規参入を阻んでいるという矛盾がある」。「農家出身者でない若者が親兄弟、友人に出資してもらいベンチャー株式会社を作って農地を取得しようとしても農地法が認めない」。
「農業保護の理由として食料安全保障や多面的機能が挙げられる。前者は食糧危機すなわち海外から食料を輸入できなくなった時に国民の生存を維持するために農産物を生産するための農地などの資源を確保しておくこと、後者は農業が農産物の生産以外で果たす市場価値では測れない機能のことで洪水防止や水資源の涵養(かんよう)、良好な景観などのことである」。「輸入とうもろこしをエサにして狭い畜舎や鳥かごで工場生産のように家畜を飼う畜産にその役割はあるか」。
・・・2016年に書かれたことが今そのまま起こってしまったのは彼らがこの9年間まったく進歩することなく惰性で悪徳を行ってきたからで私たちの生活や倫理観、道徳観だけが年々劣化している。彼らの頭の中に優越感=正しいという図式があることは疑いようのないことに思える。この明治政府以来の傲慢を国民は正さなくてはならない。そのためにもマスコミはこのようなことを勉強した上で報道に臨むのが職務であるが、現状彼らが垂れ流す情報の方が私が語ることよりも有害である。賢明な一般市民の皆さんには一日も早く目を覚まして頂いて「情報は悪、不正を糾弾することは愚かな反逆行為」という潜在意識の呪いから解き放たれますことを祈ります。そして皆で当たり前の健康と幸福を願いましょう。
人が幸せになると何が悔しいんですか?

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